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照返し
「照返し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
照返しの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
ていた。白粉《おしろい》の斑《まだら》にこびりついたような額のあたりが、屋根から
照返して来る日光に汚《きたな》らしく見えた。
「どういたしまして」
お島は無造....
「新生」より 著者:島崎藤村
りとは違って、輝きからして自分の国の方の七月らしい日の光が坂道を流れていた。強い
照返しは日除《ひよけ》を掛けた車の中にも満ちた。どうかすると、その日あたりを見て....
「我に叛く」より 著者:宮本百合子
淡彩をかけた部屋の中は、静に落付いている。母は、懸け鏡に綺麗な耳の辺から髷の辺を
照返しながら、ひっそりと地味な絹物をいじっていた。ゆき子は、入って行きながら、 ....
「女性の生活態度」より 著者:宮本百合子
なことに理解されて来るでしょう、着物とか髪形とか云うものは随分その人の人柄を細く
照返しているから、女の人が自身からそれを自覚し自分の表現としておしゃれを掌握する....
「私たちの建設」より 著者:宮本百合子
のは、はっきりと文部省の教育方針を照り合せ、しかも最もその消極的な害悪の多い面を
照返している。例えば第十四条から第十九条に至る妻の無能力ということに関する条項、....
「雪の宿り」より 著者:神西清
第に南へ延びて参ります。渦巻きあがる炎の末は悉く白い煙と化して棚びき、その白雲の
照返しでお庭先は、夜どおしさながら明方のような妙に蒼ざめた明るさでございます。殊....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
日本橋もこの界隈はさながら禁裡のように静かだった。白っぽい街路《みち》の上に瓦の
照返しが蒸れて、行人の影もまばらに、角のところ天屋の幟《のぼり》が夕待顔にだらり....
「はつ恋」より 著者:神西清
。 わたしは横になったが、眼もつぶらずにいた。まもなくわたしは、何かしら微かな
照返しが、わたしのいる部屋の中へ、絶えず射しては消え射しては消えするのに気がつい....