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「煩う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

煩うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
していたが、その時から見ると又やつれたぞ。煩《わずら》わぬようにしろ」 「いっそ煩うて死にとうござります」 言ううちにも、止めどもなしに突っかけて溢れ出る涙は....
春昼」より 著者:泉鏡花
灰をはたいて、 「ですがな……どうも、これだけは真面目に介抱は出来かねます。娘が煩うのだと、乳母が始末をする仕来りになっておりますがね、男のは困りますな。 そ....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
けた。 三 「――旦那さん、その虫は構うた事には叶いませんわ。――煩うてな……」 もの言もやや打解けて、おくれ毛を撫でながら、 「ほっといてお通....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
。) お蔦 (はっと泣いて、早瀬に縋る。) ※一日逢わねば、千日の思いにわたしゃ煩うて、針や薬のしるしさえ、泣の涙に紙濡らし、枕を結ぶ夢さめて、いとど思いのます....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
まして、あの蛍がまたむらむらと、蠅がなぶるように御病人の寝姿に集りますと、おなじ煩うても、美しい人の心かして、夢中で、こう小児のように、手で取っちゃ見さしっけ。....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
でなすったんで、茶でも進ぜたい、進ぜたい、が、早い話が、家内に取込みがある、妻が煩うとる。」 「いや、まことに、それは……」 「まあさ、余りお饒舌なさらんが可い....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
しい事はございませぬ。まあさぞお草臥なさいまして、お眠うもございましょうし、お可煩うございましょうのに、つい御言葉に甘えまして、飛んだ失礼を致しました。」 人....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
を遊ばすので、十八になるのを伴れて参りました、一番目の嫁様は来た晩から呻いて、泣煩うて貴方、三月日には痩衰えて死んでしまいました。 その次のも時々悲鳴を上げま....
星女郎」より 著者:泉鏡花
の風説が立ちますと、それからこっち両三年、悪いと言うのを強いて越して、麓へ下りて煩うのもあれば、中には全く死んだもござる。……」 「まったく?」 とハタと巻莨....
獄中消息」より 著者:大杉栄
、こんどはそんなことは夢にも思わず、ただいかにしてこの間を過ごすべきかとのみ思い煩う。そして、これこれの本を読んで、これこれの研究をして、などと計画を立てて見る....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
くるのを待っていた。しかし、彼女はこなかった。 四 今はコスモも煩う人となった。その恋に破れた顔色を見て、仲間の学生たちがからかうので、彼はつい....
深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
にこのあいだもあの通りでしたから。」 「それもそうですが……。」と、奥さんも思い煩うように見えた。「なにしろ本人がどうしても忌だというものを、無理に帰してやるわ....
チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
チチアネルロ (傷ましく笑いながら。)君は、痛恨というものが、永久に一事を思い煩うこと――結局色も香もなく空虚になってしまうまで――と、まるで、別物でもあるか....
誓之巻」より 著者:泉鏡花
いか。乱暴なものを食べさせるんだもの、綿の餡なんか食べさせられたのだから、それで煩うんだ。」 「おやおや飛んだ処でね、だってもう三月も過ぎましたじゃありませんか....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
になって居る。けれどもトモ・リンチェンガン辺りの人間は気候に慣れて居るから熱病を煩うことは少ない。チベット人は私の出て来た時分に来れば必ず熱病に罹るに極って居る....