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煩悶
「煩悶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煩悶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
おい》笑って済ませなくなるまでには、――この幽鬱な仮面《かめん》に隠れている彼の
煩悶《はんもん》に感づくまでには、まだおよそ二三箇月の時間が必要だったのです。が....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
《しょうごん》を拝する事も、永久にないかも存じません。私はそのためにこの何日か、
煩悶《はんもん》に
煩悶を重ねて参りました。どうかあなたの下部《しもべ》、オルガン....
「或る女」より 著者:有島武郎
かに道はありません。木村に取っては苦しい事だろうが、僕から考えるとどっちつかずで
煩悶《はんもん》しているのよりどれだけいいかわかりません。だから倉地さんに意向を....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
くが、自分の今夜の状態はそれに等しいのであるが、将来の事はまだ考える余裕も無い、
煩悶苦悩決せんとして決し得なかった問題が解決してしまった自分は、この数日来に無い....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
すまい。唐突に嫁入らせると、そのぞっこんであった男が、いや、失望だわ、懊悩だわ、
煩悶だわ、辷った、転んだ、ととかく世の中が面倒臭くって不可んのです。」 「で、ご....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
た。 足の下遠く黒い岩浜が見えて波の遠音が響いて来る。 ただ一飛びだ。それで
煩悶も疑惑もきれいさっぱり帳消しになるのだ。 「家の者たちはほんとうに気が違って....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ことによって最もよく取り運ばれるにちがいないのを得心する。私はこれからでも無数の
煩悶と失敗とを繰り返すではあろうけれども、それらのものはもう無益に繰り返される筈....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
えって、母に逢ったら元気づいた。これで見ると、省作も出てくるまでには、いくばくの
煩悶をしたらしい。 「おッ母さん、着物はどこです、わたしの着物は」 省作は立っ....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
た。その頃は、もちろん光郎にはそんなことをむきつけに話せるほどの間ではなかった。
煩悶に
煩悶を重ね焦り焦りして頭が動かなくなるほど毎日そればかり考えていても、登志....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
歯をくいしめてすすり泣きつ。 お貞は幾年来独り思い、独り悩みて、鬱積せる胸中の
煩悶の、その一片をだにかつて洩せしことあらざりしを、いま打明くることなれば、順序....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
、判断力に富んでいると同時に、又絶大の同情心にも富んでいた。彼はいかなる懐疑者、
煩悶者をも、諄々として教え導くにつとめた。当時一般世人から軽蔑されたスピリチュア....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
したことがあった。しかもかくのごときはただこれ困窮の余に出でたことで、他に何等の
煩悶があってでもない。この
煩悶の裡に「鐘声夜半録」は成った。稿の成ると共に直ちに....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
四方から押寄せて来て、あたかも稲麻竹葦と包囲された中に籠城する如くに抜差ならない
煩悶苦吟に苛まれていた。 二葉亭の日記の数節を引いて、その当時の
煩悶焦慮を二葉....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
だろう。 所詮二葉亭は常に現状に満足出来ない人であった。絶間なく跡から跡からと
煩悶を製造しては手玉に取ってオモチャにする人であった。二葉亭がかつて疑いがあるか....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
ているが、モルトケとしては国軍主力のマース左岸への進出に、今日我らの考え及ばぬ大
煩悶をしたのを充分察してやらねばならぬ。 敵は既にアルザス・ロートリンゲンに対....