煮え切らない[語句情報] » 煮え切らない

「煮え切らない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

煮え切らないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
んこの矛盾を切り抜ける安価な妥協的思想もないことはない。実際彼は公衆に向ってこの煮え切らない調和説の背後に、彼の芸術に対する曖昧《あいまい》な態度を隠そうとした....
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
、そいつをまっ先に参観しようじゃないか?」 「うん、見ても差支えない。」 僕は煮え切らない返事をした。それはついきのうの朝、或女学校を参観に出かけ、存外|烈《....
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
もたせてブラジル珈琲とハヴァナと代る代る使いながら、すぐ鼻の先の鏡の中へ、漫然と煮え切らない視線をさまよわせた。 鏡の中には、二階へ上る楷子段《はしごだん》の....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
を取り換えていさえすりゃ、きっとこんな事にゃなりゃしないわ。それをお父さんがまた煮え切らないで、――」と、感傷的に父を責め始めた。 「だからさ、だから今日は谷村....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
弄しながら気軽く楡《にれ》の根がたを立ち上った。若者はやはり黙念《もくねん》と、煮え切らない考えに沈んでいた。しかし相手が歩き出すと、彼もまたその後《あと》から....
或る女」より 著者:有島武郎
いた。古綿《ふるわた》に似た薄雲をもれる朝日の光が力弱くそれを照らすたびごとに、煮え切らない影と光の変化がかすかに山と海とをなでて通るばかりだ。長い長い海洋の生....
或る女」より 著者:有島武郎
りで世話を焼いた人間たちを胸のすき切るまで思い存分笑ってやるのに。そう思うと岡の煮え切らないような態度が歯がゆくもあった。しかしなんといっても抱きしめたいほど可....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
がま》が出来たから小屋を立退けと逼《せま》った。愚図愚図していると今までのような煮え切らない事はして置かない、この村の巡査でまにあわなければ倶知安《くっちゃん》....
闇の絵巻」より 著者:梶井基次郎
心を変えてしまうものだろうか。そこへ来ると私はいつも今が今まで私の心を占めていた煮え切らない考えを振るい落としてしまったように感じるのだ。私の心には新しい決意が....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
責めて、一体わたしというものをどうしてくれるのだとせまったが、男の挨拶がとかくに煮え切らないので、お紋は焦れて怨んで、この頃ではなんだか半病人のようになっていた....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
奇心も情熱も持っていなかった。 「そんな人生に消極的な気持ちのあなたが僕のような煮え切らない青年に、英雄的な勇気を煽り立てるなんてあなたにそんな資格はありません....
馬妖記」より 著者:岡本綺堂
養い親と彼との関係を薄うす覚っていたので、素直にそれに靡こうともしなかった。その煮え切らない態度に鉄作は焦れ込んで、今夜もおらちをそっと呼び出して、納屋のかげで....
子をつれて」より 著者:葛西善蔵
方が一層の惨めな痴呆者であるような気もされた。そして最初に訪ねて来た時分の三百の煮え切らない、変に廻り冗く持ちかけて来る話を、幾らか馬鹿にした気持で、塀いっぱい....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
良都女』や『都之花』の主筆として収入もまた豊かであるのを見ては、二葉亭の生活上の煮え切らない態度が戻かしくなって、何かにつけては「山田の武さんを御覧」と云い云い....
呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
は、何故か新らしく湧いた妙な味気なさを自分で不思議に思った。その縁談は、慶四郎の煮え切らない態度で有耶無耶になりそのまま今度の事件になってしまった。それゆえ、そ....