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煮え湯
「煮え湯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煮え湯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
い、親類縁者の大勢《おおぜい》には替えられないと、こう決心した五郎三郎の眼からは
煮え湯のような涙がこぼれた。鬼のような自分の心が情けなくも思われた。 きょうは....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
あっしがぱんぱんと啖呵《たんか》をきってやったんですよ。やい、バカ野郎ッ、こんな
煮え湯をこしれえておいて、おいらをゆであげておいてから、あとで酢だこにでもする了....
「二百十日」より 著者:夏目漱石
わあ」 「まあ経験して見たまえ。そりゃ容易に猟《か》り尽せるもんじゃないぜ」 「
煮え湯で洗濯《せんたく》したらよかろう」 「
煮え湯?
煮え湯ならいいかも知れない....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
、明礬、時には硫酸を食事に与えることもあろう。お前たちは今にも気絶しそうな時に、
煮え湯を足に注がれることもあろう。彼の治療を受けない場合に比べると、二週間以上も....
「パルチザン・ウォルコフ」より 著者:黒島伝治
た。逃げて行く百姓の背を、うしろから銃床で殴りつける者がある。剣で突く者がある。
煮え湯をあびせられたような悲鳴が聞えて来た。 「あァ、あァ、あァ。」語学校を出て....
「東京八景」より 著者:太宰治
いた。或る日の事、同じ高等学校を出た経済学部の一学生から、いやな話を聞かされた。
煮え湯を飲むような気がした。まさか、と思った。知らせてくれた学生を、かえって憎ん....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
とを知ることができた。ホン・クルベーの家から、彼女を引っ張り出したのも、かつては
煮え湯を呑まされた彼の復讐だったことも解った。 今、小夜子は彼との新生活に入る....
「善蔵を思う」より 著者:太宰治
私、知らん振りしていたの。」 「お金が、惜しいんだ、四円とは、ひどいじゃないか。
煮え湯を呑ませられたようなものだ。詐欺だ。僕は、へどが出そうな気持だ。」 「いい....
「チチハルまで」より 著者:黒島伝治
進命令を受けた。 二十六時間の激戦や進軍の後、和田達は、チチハルにまで進んだ。
煮え湯をあびせられた蟻のように支那兵は到るところに群をなして倒れていた。大砲や銃....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
娘を、こっちへ奪って来なければならない。だが迂濶《うかつ》に立ち廻わると、今度も
煮え湯を飲まされそうだよ。現に攫《さら》われてしまったんだからねえ」 心配そう....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
云わせるヤクザではないが、どこに秘訣があるのか、雨坊主の政治力にはガマ六がいつも
煮え湯をのまされる。とても成功の道はないと思われることを、雨坊主はさしたることも....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
ございますまい」 「わしはな」と客は物うそうに、「五年以前あの賊のために、ひどく
煮え湯を呑ませられましてな。……いまだに怨みは忘れられませんて」 「おやおやそん....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
》であったのだから、そうむげに追い立てるということも、おせい様にはできなかった。
煮え湯のような気持ちでいながら、人前では、さりげない応対だけはしていた。磯五は、....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
眼もくれずに、 「丑満《うしみつ》近え子《ね》の刻に、相好のわからなくなるほどの
煮え湯を何だってまた沸かしておきゃがったもんだろう。」 死骸を離れながら藤吉は....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
けてしまえ!」 私は誠一に言いつけた。 「どうしようか?」と誠一が尋ねた。 「
煮え湯をぶっかけろ。皮をむいて、天ぷらにして食っちまえ!」 ねずみの天ぷらはお....