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「煮え立つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

煮え立つの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ヰタ・セクスアリス」より 著者:森鴎外
食堂へ鍋を取りに行く。醤油を盗みに行く。買って来た鰹節《かつおぶし》を掻く。汁が煮え立つ。てんでに買って来たものを出して、鍋に入れる。一品鍋に這入《はい》る毎に....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
ん》の炭のよしあし、火加減、又はまぐろの切り加減なぞをよっく見た。 天プラ屋の煮え立つ油のにおいを嗅いだり、ころもの色をながめたりした。 煮売屋に据えてある....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
すると、再びあけられた戸口から辷るように出て行った。後は森然と静かであった。釜で煮え立つ湯の音ばかりが、ただシンシンと聞こえている。 解剖台に寝ているのは、正....
海流」より 著者:宮本百合子
照らし出されている。客間からの話声をききながら湯がやっとたぎり出して来てだんだん煮え立つ音がしずまって行き、将《まさ》にふきこぼれようとするところで瓦斯を消す迄....
マクシム・ゴーリキイの伝記」より 著者:宮本百合子
いた。ゴーリキイは自分の心にも似たような黒い、激しいものが答えられない疑いとして煮え立つことを既に幾度か経験しているのであった。 例えば、汽船の皿洗い小僧とし....
神楽坂」より 著者:矢田津世子
十両の無心を安がどんなそっけなさで断ったか。――爺さんはその時のことを思うと肚が煮え立つのである。当時、京橋の方で手広く唐物の卸し問屋をしていた安さんは、生憎遊....
オパール色の手紙」より 著者:平林初之輔
、羊のように従順にでもなります。生まれたばかりの嬰児《あかご》の四肢をもぎとって煮え立つフライパンの中へ投げこむほど惨忍にもなります。 T子より 世....
私本太平記」より 著者:吉川英治
りはない。 だが人間はついに、われからその棲み家を業の窯として、自分も他人も、煮え立つ釜中の豆としてしまった。――天下騒然、 「戦だ」 「いよいよ始まったぞ」....
不思議な魚」より 著者:室生犀星
はそろそろ網を張るために、船と船との距離をひろげて行くのでした。実際、鰯の大群は煮え立つように南の方へすこしずつ動いているのでした。 李一は自分の家の貧しいこ....