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煽る
「煽る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
煽るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、 「二十銭にいたして置きます。」と天窓から十倍に吹懸ける。 その時かんてらが
煽る。 主税は思わず三世相を落して、 「高価い!」 「お品が少うげして、へへへ....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
と云うことを知ると、どうも面白くない。おまけに大塚が色々の尾鰭をつけて、そばから
煽るようなことを云いましたから、今井はいよ/\面白くない。しかし流石に大塚とは違....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
乳へ、牙が喰入る。ええ、油断した。……骨も筋も断れような。ああ、手を悶える、裳を
煽る。 侍女六 いいえ、若様、私たち御殿の女は、身は綿よりも柔かです。 侍女七 ....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
児等しばらく逡巡す。画工の機嫌よげなるを見るより、一人は、画工の背を抱いて、凧を
煽る真似す。一人は駈出して距離を取る。その一人。 小児三 やあ、大凧だい、一人じ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
ば、傾く船に三人が声を殺した。途端に二三尺あとへ引いて、薄波を一|煽り、その形に
煽るや否や、人の立つごとく、空へ大なる魚が飛んだ。 瞬間、島の青柳に銀の影が、....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
。 帰命頂礼、賽ころ明神の兀天窓、光る光る、と追従云うて、あか柄杓へまた一杯、
煽るほどに飲むほどに、櫓拍子が乱になって、船はぐらぐら大揺れ小揺れじゃ、こりゃな....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
大波を立てている、……裏の峰が、たちまち颯と暗くなって、雲が被ったと思うと、箕で
煽るように前の峰へ畝りを立ててあびせ掛けると、浴びせておいて晴れると思えば、その....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
とばかり、あらためて、その(松や、)を言おうとすると、溜息になってしまう。蚊帳が
煽るか、衾が揺れるか、畳が動くか、胸が躍るか。膝を組み緊めて、肩を抱いても、びく....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
ごほんと、乾咳を咳いて、掻巻の襟を引張ると、暗がりの中に、その袖が一波打って
煽るに連れて、白い蔽に、襞※が入って、何だか、呼吸をするように、ぶるぶると動き出....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
し憧憬する広重の錦絵に見る、隅田の美しい流れも、現実には煤煙に汚れたり、自動車の
煽る黄塵に塗れ、殊に震災の蹂躙に全く荒れ果て、隅田の情趣になくてはならない屋形船....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
土を積んだ後に佇んでいる。トロッコは山を下るのだから、人手を借りずに走って来る。
煽るように車台が動いたり、土工の袢天の裾がひらついたり、細い線路がしなったり――....
「伯林の降誕祭」より 著者:岡本かの子
―そしてクリスマス。 バルチック海から吹き渡って来る酷風が、街の粉雪の裾を斜に
煽る。そして行き交う厚い外套と雪靴の街、子供達の雪合戦の街、橇の其処にも此処にも....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
見る見る積る雪の中に、淡雪の消えるような、あだなのぞみがあったのです。でその望を
煽るために、もう福井あたりから酒さえ飲んだのでありますが、酔いもしなければ、心も....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
んじゃあねえ。」と紋床は話が実で、ものになりそうな卵だと見て取ると、面白しで大に
煽る。 金之助は驚いて、 「馬鹿なことを言え、罰の当った、根岸の加茂川と来た日....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
に一杯振舞うてくれる気、と、早や、手前勝手。飲みたいばかりの理窟をつけて、さて、
煽るほどに、けるほどに、五助さん、どうだ。 私の顔色の悪いのは、お憚りだけれど....