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熊の胆
「熊の胆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
熊の胆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「坑夫」より 著者:夏目漱石
うと思ったが、せっかく盛り込んだものを、食ってしまわないと、また冷かされるから、
熊の胆《い》を呑む気になって、茶碗に盛っただけは奇麗《きれい》に腹の中へ入れた。....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
。けれども余の眼にはこの黒いものが血とは思えなかった。するとまた吐いた。その時は
熊の胆の色が少し紅《くれない》を含んで、咽喉を出る時|腥《なまぐさ》い臭《かおり....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いうのが来合わせたので、二人はすぐに相談して、その熊の死骸を引っかついで逃げた。
熊の胆《い》と熊の皮とは高い値であるということを、彼等はふだんから聞いていたから....
「蠅男」より 著者:海野十三
みますやろ。そのときは御遠慮なく、この枕をお使い遊ばせ」 村松検事がこれを見て
熊の胆をなめたような顔をした。 「これは投書にしても、最悪性のものだ。警察官侮辱....
「家」より 著者:島崎藤村
並べて、朝は八時頃から日の暮れるまで倦むことを知らずに働いた。沈香、麝香、人参、
熊の胆、金箔などの仕入、遠国から来る薬の注文、小包の発送、その他達雄が監督すべき....
「なめとこ山の熊」より 著者:宮沢賢治
空滝だ。そして昔はそのへんには熊がごちゃごちゃ居たそうだ。ほんとうはなめとこ山も
熊の胆《い》も私は自分で見たのではない。人から聞いたり考えたりしたことばかりだ。....
「今昔ばなし抱合兵団」より 著者:海野十三
いが停まらなかった。そのうちにようやく笑いを停めると、こんどは笑いあきたか、急に
熊の胆を嘗めたようなむつかしい顔になって、 「では、こうしよう。来る八月八日を第....
「栃の実」より 著者:泉鏡花
まくないもののように、皆残して済みません。」ああ、娘は、茶碗を白湯に汲みかえて、
熊の胆をくれたのである。 私は、じっと視て、そしてのんだ。 栃の餅を包んで差....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
です。当分外へは出てはなりません、と外出|禁制。 以前は、その形で、正真正銘の
熊の胆、と海を渡って売りに来たものがあるそうだけれど、今時はついぞ見懸けぬ、と後....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
必ず子が従うということ。熊の掌《てのひら》の肉がばかに美味《うま》いということ。
熊の胆《い》の相場。熊は山を歩くにも、猪や、鹿のように、どこでもかまわぬという歩....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
う。それにはアザラシの胆、胆嚢をとって、のませるのがいちばんいい。くまの胆嚢を「
熊の胆」といって、妙薬とされているから「アザラシの胆」も、ききめがあるにちがいな....
「鼠」より 著者:岡本綺堂
皮を買って下さらんかな。」と、彼は見掛けによらない優しい声で言った。 熊の皮、
熊の胆を売るのは、そのころの木曾路の習いで、この一行はここまで来るあいだにも、た....
「学問のすすめ」より 著者:福沢諭吉
ちの媚《こび》を献ずるがごとくするはもとより厭うべしといえども、苦虫を噛み潰して
熊の胆《い》をすすりたるがごとく、黙して誉《ほ》められて笑いて損をしたるがごとく....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
ャマ、洗面器、マニキュア・セット、コロン水、足煖炉、日章旗、蓄音機、マンドリン、
熊の胆《い》、お百草、パントポン、アドソルピン、腸詰め、卓上電気、その他いろいろ....
「あの世の入口」より 著者:知里真志保
ろう。それから、熊の皮、鹿の皮などおれがこしらえておいたものをみやげにやる。この
熊の胆の乾し固めた束もあげるから、それを上の国へ持ち帰ってみやげとし、せめてこれ....