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熔炉
「熔炉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
熔炉の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
。怪しげな煙筒からは風にこきおろされた煙の中にまじって火花が飛び散っていた。店は
熔炉《ようろ》の火口《ひぐち》を開いたように明るくて、馬鹿馬鹿しくだだっ広い北海....
「写生紀行」より 著者:寺田寅彦
ものはよく見るとみな石炭であった。ため池の岸には子供が二三人|釣りをたれていた。
熔炉の屋根には一羽のからすが首を傾けて何かしら考えていた。 絵として見る時には....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
老人の生き生きとした感じには及びもつかなかった。彼にとってはそれらの歌は、内部の
熔炉《ようろ》から迸《ほとばし》り出た若干の火花にすぎなかった。なお他にも多くの....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
一部をなしてるのである。すべてを抱擁しなければいけない。われわれの心の熱しきった
熔炉《ようろ》の中に、否定する力と肯定する力とを、敵と味方とを、人生のあらゆる金....
「憑きもの」より 著者:豊島与志雄
頸すじに梳かし流し、横顔が蝋のように白い。足元には、数十メートルの断崖と、赤熱の
熔炉。危ない。彼女のためにではなく、自分自身に私は感じた。夢の中で見るのと、同じ....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
を運搬していたのが、工事の進行につれて一台の汽鑵車を用うることになった。たとえば
熔炉の中で人を蒸し殺すばかりの暑さの日を、悪魔の群れたような土方の一団が、てんで....
「火と氷のシャスタ山」より 著者:小島烏水
障碍に放射することを感ずる。絶頂の火口は、今こそ休火山ではあるが、烈々と美を噴く
熔炉になっている。その美の泉を結晶したものは、絶頂から胸壁へと、こびりついている....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
て、私達は其先端に小高く堆積した岩塊の上に立った。脚の下には小窓裏の雪渓が大きな
熔炉から流れ出した銀の熔液のように輝いている。ガラガラした破片岩の堆積を蹈み崩さ....