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「熟字〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

熟字の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
行人」より 著者:夏目漱石
女」に対する興味を日に増し加えて行くように見えた。自分がやむをえず興味という妙な熟字をここに用いるのは、彼の態度が恋愛でもなければ、また全くの親切でもなく、興味....
三四郎」より 著者:夏目漱石
って、君があの女と結婚する事は風馬牛《ふうばぎゅう》だ」 与次郎は風馬牛という熟字を妙なところへ使った。そうして一人で笑っている。 「なに、もう五、六年もする....
自叙伝」より 著者:大杉栄
練兵は「豪快」でもあろうが、しかしまた何とかでもあろうと言って、その何とかという熟字を教えてくれた。僕はさっそく僕の文章の中にその熟字を使った。 それから数日....
辞書」より 著者:折口信夫
日本語を記録することがもっと早くからあったのだ。『倭名鈔』をみても、漢字の名詞、熟字を示して、それに和訓を付けている。ときによると、訓をつけることができなくて、....
余は大衆作家にあらず」より 著者:中里介山
るのであろうか、それがさっぱりわかっていない、大衆といえば仏教の方では古来一つの熟字になっていて一つの寺院の中の坊さん全体という意味に使われているが、しかし昔の....
銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
の意味を解いてやろう」そこで彼は考え出した。だがどうにもわからなかった。「こんな熟字ってあるものじゃねえ。川は川だし大は大さ。丁は丁だし首は首だ。音で読めば川大....
自警録」より 著者:新渡戸稲造
れなかったことが、こんにち日々の新聞に見ることを考えれば、今後五年にはいかなる新熟字《しんじゅくじ》、新思想が世に行わるるかは想像《そうぞう》出来ぬ。よし新熟語....
ねじくり博士」より 著者:幸田露伴
でいるのだよ。月も螺転しているのサ。星もその通りサ。螺旋螺転なんというのは好い新熟字だろう。人間のつむじを見ればこれも螺旋法で毛が出るのサ。血は血管の中で螺旋し....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
ので何れも火星のことだとわかりました、猶お漢和大辞典(小柳司気多)の惑のところに熟字の例として※星、営惑というのがあがっています。 以上のものだけでも私の想像....
親鸞」より 著者:三木清
たがって、微・関・宜の三つの意味を有するとされている。それはまず第一に機微という熟字に見られるごとく微の意味を有する。弩《いしゆみ》に発すべき機がある故に、射る....
学者安心論」より 著者:福沢諭吉
すなわち、これを平民の政といいて可《か》なり。 古《いにしえ》より家政などいう熟字あり。政《せい》の字は政府に限らざることあきらかに知るべし。結局政府に限りて....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
まちまちであったが、大体においては余り歓迎されなかった。そもそもこの“活歴”なる熟字は団十郎自身が命名したのではない、求古会員が製造したのでもない。単に歴史をあ....
山道」より 著者:中里介山
一行の中から遽《にわ》かに哄笑が湧き上りました。それは嘲笑でもなければ感笑(変な熟字だが)でもありません。一種異様の笑い声でありました。胆汁質の脊広は、ちっとも....
平民道」より 著者:新渡戸稲造
る語も言うまでもなく古くから使用さるる語である。然《しか》るに武士道と三ツ並べた熟字は一般に用いられなかった。僕は度々この文字の出所《でどころ》を尋ねられたけれ....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
這入った者は、饑渇となって死ぬる為に名付けられたのだという説明は、それが離し難い熟字であるとはいうものの少し可笑しく思われる。食物は尽きたが雪を噛って生きていた....