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「熱帯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

熱帯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
彼 第二」より 著者:芥川竜之介
ていた。それは満足そのものと云っても、少しも差支《さしつか》えない姿だった。僕は熱帯植物の中からしっきりなしに吹きつけて来るジャッズにはかなり興味を感じた。しか....
桃太郎」より 著者:芥川竜之介
ずれも多少気違いじみた女性|崇拝家《すうはいか》ではなかったであろうか? 鬼は熱帯的風景の中《うち》に琴《こと》を弾《ひ》いたり踊りを踊ったり、古代の詩人の詩....
早春」より 著者:芥川竜之介
待ちさえすれば好《い》い。彼は帰りたさをこらえたまま、標本室の中を歩きまわった。熱帯の森林を失った蜥蜴や蛇の標本は妙にはかなさを漂《ただよ》わせている。これはあ....
デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
においてはユトランドの夏は昼は非常に暑くして、夜はときに霜を見ました。四六時中に熱帯の暑気と初冬の霜を見ることでありますれば、植生は堪《たま》ったものでありませ....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
しかして稀薄な雰囲気が冷却作用をもつことを、スウェデンボルクは、高山では、たとえ熱帯地であっても、著しく寒冷だという事実から推論している。そういうことをスウェデ....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
いる。日蓮聖人が朝日を拝して立宗したのは、真の日本仏教が成立したことを意味する。熱帯では衣食住に心を労することなく、殊に支配階級は奴隷経済の上に抽象的な形而上の....
宇宙の迷子」より 著者:海野十三
たりを見まわした。空は青く晴れて、高いところにあった。太陽はぎらぎらと照りつけて熱帯の太陽のようであった。ふりかえると、今までポコちゃんのいた家があったが、それ....
宇宙戦隊」より 著者:海野十三
きつけられて、じっと見つめていた人々は、やがてなんとなく嘔き気をもよおしてきた。熱帯にすむ青いとかげのことを思い出したからであろう。 しかし何よりも人々にふし....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
いればなによりのことだった。 大尉の足は、いつしか甲板へ出ていた。 きょうも熱帯の海は、穏やかに凪いでいる。見渡せば、果しのない碧緑の海であった。そして海ば....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
ちらと映ると、釵は滝壺に真蒼な水に沈んで行く。……あわれ、呪われたる仙禽よ。卿は熱帯の鬱林に放たれずして、山地の碧潭に謫されたのである。……トこの奇異なる珍客を....
幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
人をうれしがらせる。まあ、人になることですよ。」 「ああ、わがなつかしき、花さく熱帯の故国よ。」とカナリヤがうたいました。「わたしはあのみどりしたたる木立と、鏡....
三枚続」より 著者:泉鏡花
客は一斉に籠むのであろう。 とばかりにしてものの静けさよ。ここかしこの鉢植なる熱帯地方の植物は、奇花を着け、異香を放ち、且つ緑翠を滴らせて、個々電燈の光を受け....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
帰朝出来そうだと一同安心して大いに喜んでいた。然るにポルトセイドに着き、いよいよ熱帯圏に入ると、気候の激変から病が俄に革まって、コロンボへ入港したころは最早|頼....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
十一日、晴れ、かつ暖。午前七時、ホンコンへ入港す。ホンコンは台湾南部とともに熱帯圏内にあれば、わが内地の七月ごろの気候なり。船檣の湾内に林立せるありさまは、....
北海道に就いての印象」より 著者:有島武郎
新たに甦って来る。あの変化、あの心の中にうず/\と捲き起る生の喜び、それは恐らく熱帯地方に住む人などの夢にも想い見ることの出来ない境だろう。それから水々しく青葉....