熱砂[語句情報] » 熱砂

「熱砂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

熱砂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
映画時代」より 著者:寺田寅彦
るとらくだが驚いて一声高くいなないて立ち上がる。これだけで芝居のうそが生かされて熱砂の海が眼前に広げられる。ホテルの一室で人が対話していると、窓越しに見える遠見....
第五氷河期」より 著者:海野十三
仰いでみても、あの澄みわたったうつくしい紺碧の空を仰ぐことはできなかった。空は、熱砂の嵐のように、赤黒く濁っていた。そしてその中に、赤いペンキをなすりつけたよう....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
じっかなこと云い出せないもの」 じりじりと照りつける陽の光と腹匍いになった塚の熱砂の熱さとが、小初の肉体を上下から挟んで、いおうようない苦痛の甘美に、小初を陥....
十二支考」より 著者:南方熊楠
法行といい世界を護る、二は非法行で世間を壊《やぶ》る、その城中なる法行王の住所は熱砂|雨《ふ》らず、非法行竜の住所は常に熱沙|雨《ふ》り、その頂あり、延《ひ》い....
映画雑感(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
ら見えと因襲の靴を踏み脱ぎすてたヒロインが追いかける。兵隊の旗も土人の子もみんな熱砂の波のかなたにかくれて、あとにはただ風の音に交じってかすかにかすかに太鼓とラ....
風流仏」より 著者:幸田露伴
は淋しき床に寝覚めて、隣りの歯ぎしみに魂を驚かす。旅路のなさけなき事、風吹き荒み熱砂顔にぶつかる時|眼を閉ぎてあゆめば、邪見の喇叭気を注けろがら/\の馬車に胆ち....
恐竜島」より 著者:海野十三
林をかきわけ、ようやく海岸の基地《きち》へたどりついた。そのとき三人が三人とも、熱砂《ねっさ》の上に、おっとせいがたたきつけられたようなかっこうで人事不省《じん....
人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
のサンデー砂漠地帯の一|区劃に移駐することを許された次第であった。 ここでは、熱砂は舞い、火喰い鳥は走り、カンガルーは飛び、先住民族たる原地人は、幅の広い鼻の....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
風邪を引くという事は全く私のプログラムにはない事だった。さすがに紅海は太陽の光と熱砂の霞と共に暑かった。汗と砂漠の黄塵によって私の肉体も顔も口の中までも包まれて....
鱗粉」より 著者:蘭郁二郎
な肢体を、今、惜気もなく露出し、思い思いの大胆な色とデザインの海水着をまとうて、熱砂の上に、踊り狂うのである。 ――なんと自由な肢体であろう。 それは、若き....
国立国会図書館について」より 著者:中井正一
も若草がもえるように、その歩みを止めはしない。 アレクサンダーが幾十万の兵士を熱砂の中に埋めている間も、文化は人から人に伝わって、東から西へ、東から西へと、そ....
地上」より 著者:島田清次郎
の光景を見まいとするように眼を閉じるのを知っていた。曠野の涯の松林を越えると道は熱砂の砂丘に高まっていた。薄赤い昼顔が砂上に夢のように咲き乱れていた。そうして陽....
百喩経」より 著者:岡本かの子
は黄黒い闇になってその中に数え切れぬほどの竜巻きが銀色の髭を振り廻した。頬に痛い熱砂。駱駝は意気地なく屈んで仕舞った。 さあ、誰か一人殺さねばならない。隊商の....
日本のこころ」より 著者:中谷宇吉郎
は立派に作ってあるが、一歩|鋪装《ほそう》道路をはずれると、暗黒の密林、あるいは熱砂の沙漠《さばく》、または奇巌《きがん》の岩原である。道なき荒野や密林を、何哩....
オスカー・ブロズキー事件」より 著者:妹尾アキ夫
気管のついた小さいフラスコと、小型の折りたたみ式の三脚と、アルコールランプと、伝熱砂盤がわりになる石綿の盤なぞをとりだし、黒焦げの灰を手にとってよく調べたあとで....