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熱鉄
「熱鉄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
熱鉄の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
叫びながら、夫の胸へ縋《すが》ろうとした。けれども一足《ひとあし》出すが早いか、
熱鉄《ねってつ》か何かを踏んだようにたちまちまた後ろへ飛びすさった。夫は破れたズ....
「或る女」より 著者:有島武郎
だ。ただ少し葉子から離れて来たらしいと疑い始めただけだ。それだけでも葉子はすでに
熱鉄をのまされたような焦躁と嫉妬《しっと》とを感ずるのだから、木村の立場はさぞ苦....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
主人が留守だものですから、東雲さんのお家がどうしても只今わかりません」 兵馬は
熱鉄を呑ませられたように思ったが、このうえ押すと佐野次郎左衛門にされてしまう。 ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
之助……これでよかった。違う。しかし気にかかるは竜という文字……お豊の胸には急に
熱鉄が流れるのでありました。 また犬が吠えて、この家の前で足音が止まる。 い....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の? あの人の身は冷たいけれども、骨は赤い焼け爛《ただ》れた鉄のようです。あの
熱鉄が、ひたひたとこの肌に触れ、この身内がその時に焼かれる、あの濫悩、この黒髪が....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
見た目には白いお銀様の手が、するすると相手方の首を抱いてしまい、米友の見る前で、
熱鉄のように熱い唇が、溶けるように物を言いました。 「ああ、友さん、お前はいい人....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
せてはならない、お祖父《じい》さんに似せなくてはならないということが、与八の頭へ
熱鉄の如く打込まれるのであります。 郁太郎の父は竜之助であって、その祖父は弾正....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
打ち負かされて姿を見せなかったが、夜になると常に現われた。 次の日、絞首役人は
熱鉄でラザルスの両眼をえぐり取って、彼を故国へ追い帰した。神聖なる皇帝アウガスタ....
「猫の穴掘り」より 著者:寺田寅彦
として色々な異常現象が頻出するかと思われるふしも少なくないようである。 例えば
熱鉄を氷片に近づける場合を考えてみる。近づける速度が非常にゆっくりしていれば、近....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
に感じたのは蛇の肌にさわったような冷たい感じで、その時の感じはいまだに掌の上に、
熱鉄の烙印を押したように残っています。それは彼女の手であったのです。 「不幸なか....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
五日目も「小雀長吉」を先くぐりされてしまったこともちろんだった。そのたんびたんび
熱鉄を飲み下す思いをして圓朝は、突嗟に何かその道具立てに因みある噺を考えださなけ....
「殺人迷路」より 著者:夢野久作
ポストに手をかけた瞬間であった。彼はハッとして手を引いた。そのポストの生冷たさが
熱鉄のように彼の掌に感ぜられると同時に、彼は或る素晴らしいヒントを得たのであった....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
」 と大きな懐中物で、四角に膨れた胸を撫でつつ、 「何ともいえないので、まるで
熱鉄を嚥下す心持でがすよ。はあ、それじゃ昨日、晩方にも苦しみましたな。」 「ああ....