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燃えたつ
「燃えたつ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
燃えたつの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「消えた美しい不思議なにじ」より 著者:小川未明
は、その黄金色に光る砂を河の流れに投げていました。清らかな水の中が、たちまち炎の
燃えたつように明るく輝いて見えました。そして幸福のにじは、遠く河の中からわきあが....
「富岡先生」より 著者:国木田独歩
謝るが如かりしを想起す毎に細川はうっとりと夢見心地になり狂わしきまでに恋しさの情
燃えたつのである。恋、惑、そして恥辱、夢にも現にもこの苦悩は彼より離れない。 ....
「地上」より 著者:島田清次郎
もほっとしたのであった。 ――伝馬は暫くたってお光達を陸へ戻してくれた。夕焼の
燃えたつ海上を新しい船が帆をあげて出てゆく情景は美しいものだった。お光と兄は静か....
「変なあたま」より 著者:辻潤
っているのである。ひるがえって飢餓に瀕している農村の人々を見よ!――と正義人道に
燃えたつ幾多の志士仁人が叫んでいる。叫んでいる人達も同じく飢餓に瀕している――ま....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
そして彼はあとで、夢をみたのではないかとみずから訝《いぶか》った。闇夜を光被する
燃えたつ流星のあとに、通っても見分けがたいほどの、光った塵埃《じんあい》が、ほの....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
幻を浪費したので、今は新しい情熱にたいしてそれらが十分残っていなかった。他の炎が
燃えたつ前に、彼は心の中に他の薪を用意しなければいけなかった。まずそれまでは、偶....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
興奮のために赧《あか》くなってるアルノー夫人の細《ほっ》そりした顔を、ひらひらと
燃えたつごとに照らしていた。彼女はこんなに心を打ち開いたことを自分でも驚いていた....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
うど大都会の夜に電燈が一|斉《せい》にともると同じように、暗い魂の中に永遠の炎が
燃えたつ決定的な瞬間が、人生にはある。プロメテウスの火を一つの魂から迸《ほとばし....
「秦の出発」より 著者:豊島与志雄
のうちには、それが二つとも、りっぱに存在し得るのだ。あれの情熱は、或る時は熱烈に
燃えたつが、或る時は無関心以上に冷淡になる。何が契機でそうなるのか、僕には見当も....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
《さび》しいでしょうって? なるほど、それもそうですね。それじゃ、骸骨のまわりに
燃えたつような大輪の牡丹《ぼたん》でも彫っていただきましょうか。なにぶんよろしく....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
うで、そこへ思わぬじゃまがはいったすがた……。
阻《はば》まれれば阻まれるほど
燃えたつのが男女恋情のつねならば、夜泣きの刀にひた向く相馬大膳亮のこころは、ちょ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
雪崩《なだれ》こみました。
煽《あお》りをくらった灯が、消えなんとして、ぱッと
燃えたつ。
と! どうです。
畳にころがって、のたうちまわってでもいるかと思....
「苦しく美しき夏」より 著者:原民喜
で傷ついた獣のように呻吟《しんぎん》していた。狭い庭にある二本の黐《もち》の樹の
燃えたつ青葉が油のような青空を支《ささ》えていて、ほど遠からぬところにある野づら....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
を夢中にさせました。太陽は我を忘れて、瞬間太古の熱さにかえりました。そして、灼き
燃えたつ光の珠となって、その花びらの軟くきついしめつけの中におちて行きました。 ....
「未開な風景」より 著者:宮本百合子
ない。暗闇の中へ座っている彼女の神経は、だから瓦斯の焔そっくり新鮮で色が奇麗で、
燃えたつようなのだ。 「じゃ、それっきりお嫁に行っちゃったんですか」 「そうです....