燎原の火[語句情報] » 燎原の火

「燎原の火〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

燎原の火の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
近世快人伝」より 著者:夢野久作
陀の缶詰業に火が移った。続いて露領沿海のタラバ蟹に延焼し、加察加の鮭、鰊と宛然に燎原の火の如く、又は蘇国の空軍の如く、無辺際の青空に天翔る形勢を示したが、その途....
芝刈り」より 著者:寺田寅彦
ように思ってみたりした。実際そんな単純な考えが熱狂的な少数の人の口から群集の間に燎原の火のようにひろがって、「芝」を根もとまで焼き払おうとした例が西洋の歴史など....
一つの思考実験」より 著者:寺田寅彦
数の尊敬しあるいは憎悪するような人が死にでもすればそのうわさは口から口へいわゆる燎原の火のように伝えられるものである。三月三日に井伊大老の殺された報知が電信も汽....
図書館法の成立」より 著者:中井正一
れは、「一隅を照らす」灯のように、点々と次々に燃え広がるやさしい、そして、美しい燎原の火ともなるのである。一つの国が、他の国が、そして世界がその温かさをわけもつ....
カットの文法」より 著者:中井正一
ものが、人民のうらみのことばであり、詩は剣のように、ひそかに政治の誤謬をさし貫き燎原の火のごとく人の手から人の手にうつりゆく武器となったのである。「諷」と「刺」....
図書館法ついに通過せり」より 著者:中井正一
べきである。 一つの町が起ちあがれば、次の村もじっとしてはいられないのである。燎原の火の如く、それは次次に点火されなければならない。一つの郡が他の郡を競争の中....
火葬と大蔵」より 著者:喜田貞吉
ったものならば、いかにそれが便宜な葬法だからと云っても、どうで火葬のことだから、燎原の火の如く火急に広がったものであろうなどと、洒落て済ますべきものではない。葬....
三国志」より 著者:吉川英治
思想の悪化、組織の混乱、道徳の頽廃。――これをどうしようもない後漢の末期だった。燎原の火とばかり、魔の手をひろげて行った黄巾賊の勢力は、今では青州、幽州、徐州、....
三国志」より 著者:吉川英治
と、謀りだしたものと考えられます。一刻もはやくこれはご征伐なさらなければ、遂に、燎原の火となりましょう」 魏王|曹叡は幼いので、諸臣の説を聞いても、なお迷って....
私本太平記」より 著者:吉川英治
々に言い騒ぐ兵の声に、ふと目をさまして見ると、なるほど、洛外の西から南へかけて、燎原の火ともいえる炎の波がえんえんと横に長く望まれた。疑いもなく、友軍の千種、赤....
私本太平記」より 著者:吉川英治
ちろんだ、さもなくて、わずかなまに、立川流などと申すいかがわしき教義が、そうそう燎原の火のごとく世俗の中に弘まるはずはない。ま、とにかくそんな坊主なのだ、あの今....
秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
て、光と蔭と錯綜した曲線の皺がモクモクと動いているようだ。それが谷風に煽られて、燎原の火の様に山麓から山頂へと一気に音もなく燃え拡がって行く。まるで大きな山火事....