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「燧石〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

燧石の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
うな葉子の目の前で閉じたり開いたりした。赤とんぼも飛びかわす時節で、その群れが、燧石《ひうちいし》から打ち出される火花のように、赤い印象を目の底に残して乱れあっ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いらあ」 「まったく秋の夜は長げえ。ここらで一服吸ってもいいかね」 「いけねえ。燧石《ひうち》の火は禁物《きんもつ》だ」 「いやに暗い晩だね」 「暗いから火は禁....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
細かまわず又呶鳴った。 「ええ、構うものか、こんな稲荷……。さあ、焼くぞ、こんな燧石箱《ひうちばこ》のような小っぽけな祠《ほこら》は、またたく間に灰にしてしまう....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の幸いにして、落ちた提灯をようように探しあてた。商売柄で夜は身を放さない燧袋から燧石を出して、折れた蝋燭に火をつけてそこらを照らしてみたが、なにかの手がかりにな....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
別坑は、一つもなかったのですが」 「おや、地盤が、急に変ったじゃないか。これは、燧石みたいに硬い岩だ」 草津大尉の声のする方に、道後少尉が、懐中電灯を照しつけ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
質――。論争の綺びやかな火華にばかり魅せられていて、その蔭に、こうした陰惨な色の燧石があろうなどとは、事実夢にも思い及ばぬことだった熊城は神経的に掌の汗を拭きな....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
の蹲る気勢がした。屋根板を掻き集める音がした。 「だが」と若者の声がした。「俺は燧石を持っていないよ」 「いや、俺が持っている」 新来の病人の声であった。 ....
未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
十尺もあって、それを掘ると、下から、青くて固い地盤《じばん》が出て来るよ。まるで燧石《ひうちいし》のやわらかいやつみたいだ。こいつは掘るのに、なかなか手間がかか....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
る」 紋太夫はこう思って、枯れ枝を集めに取りかかった。やがて松火が出来上がる。燧石を打って火を作る。松火は焔々と燃え上がった。 で、紋太夫は元気よく、しかし....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
ていたので、こう云いながら起き上がると布団の上へ胡坐を掻いた。それからカチカチと燧石を打ってぼっと行燈へ火を移した。 「まあこっちへはいって来い」 「はい」と云....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
どの彷徨う筈はない、参詣帰りの人が、遅く、その辺を通るからであろう。 やがて、燧石を切る音が、紙帳の中から聞こえて来、すぐにボッと薄黄いろい燈火が、紙帳の内側....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
ゆるゆる莨を詰め出したが、「チェッ」とまたもや舌打ちをした。 「いけないいけない燧石を忘れた」 ――とその時土塀の上から、意外にも女の声がした。「よろしかった....
」より 著者:岡本綺堂
聞いたのである。もう打捨てては置かれないので、七兵衛は床の上に起き直って枕もとの燧石を擦った。有明行燈の火に照らされた蚊帳の中には、鼠らしい物の姿も見いだされな....
五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
属製の小|喞筒(これで硫酸や硝酸を、敵の面部へ注ぎかけた。)精巧無比の発火用具(燧石の類である。)折畳式の鉄梯子、捕繩、龕燈、各種の楽器(これで或る時は虫の音を....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
なかった。 「もし、早く燈火を……。焚火をしてくださりませ。」 「焚火はならぬ。燧石をどこやらで落としてしまいました。」と、男は暗いなかで冷やかに答えた。 小....