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燻べ
「燻べ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
燻べの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神社合祀に関する意見」より 著者:南方熊楠
主閣まで食い込み、役人らなすところを知らず天手古舞《てんてこまい》を演じ、硫黄で
燻べんとか、テレビン油を撒かんとか、愚案の競争の末、ついにこのたび徳川侯へ払い下....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
喚《うな》るなど獣ごとき点多しと載せた。また一八七二年ミネプリ辺で猟師が狼※から
燻べ出し創《きず》だらけのまま件の孤児院に伴れ来た児は動作全く野獣で水を飲む様狗....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
云う。妾を撲るお前達の鞭こそ、涅槃に導く他力だとな! 妾はお前達に礼を云う。妾を
燻べた松火の火こそ、真如へ導く導火だとな! おお人々よ慾を捨てよ! 慾こそは輪廻....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
燃え残りを頂くとたい。……これから夏になると雷神が鳴ります。その時にこれを火鉢に
燻べると雷神様が落ちさっしゃれんちうてなあ……梅津の爺さんは身体ばっかり大きいヘ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
ので、ほんの草葺でありますが、些と御帰りがけにお立寄り、御休息なさいまし。木葉を
燻べて渋茶でも献じましょう。 荒れたものでありますが、いや、茶釜から尻尾でも出....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
薬でございます……おい婆さん何を持って来て、ソレこれへ打込みねえ、それその麁朶を
燻べてな、ぱッ/\と燃しな……さア召上りまし、此方の肉が柔かなのでございますから....
「躯」より 著者:徳田秋声
ものを焼捨てて了おう。」というんで、秋山大尉がその手紙を奥さんの目の前で皆な火に
燻べて了った。それで奥さんの方も気が弛んだ。 秋山大尉は、そうと油断さしておい....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
じを切出したのを、三重、七重に――たなびかせた、その真中に、丸太|薪を堆く烈々と
燻べ、大釜に湯を沸かせ、湯玉の霰にたばしる中を、前後に行違い、右左に飛廻って、松....
「源氏物語」より 著者:紫式部
て、白玉と青玉で蓮の花の形にした幾つかの小|香炉には蜂蜜の甘い香を退けた荷葉香が
燻べられてある。経巻は六道を行く亡者のために六部お書かせになったのである。宮の持....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
った。永い間通っているものと見えて、駅長とは特別懇意でよく駅長室へ来ては巻煙草を
燻べながら、高らかに外国語のことなどを語り合うているのを聞いた。 私の眼には立....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
出ているが、しかもその書にはなにもその意味は書いてない。しかしこれは誰にでも鬼を
燻べる意味だと取れるであろうことは、もっとものように感ぜられるが、ただし私の考え....
「露伴の出世咄」より 著者:内田魯庵
なら読んで見て、面白いと思ったら序文をお書きなさい、ツマラナイと思ったら竈の下へ
燻べて下さいと、言終ると共に原稿一綴を投出してサッサと帰ってしまった。 学海翁....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
ら樋の水を酌んでは、風呂を立てた。睡れずに過した朝は、暗いうちから湿った薪を炉に
燻べて、往来を通る馬子の田舎唄に聴惚れた。そして周囲のもの珍しさから、午後は耕太....
「挿話」より 著者:徳田秋声
り隅の方で、トランプの数合せに没頭していた。お絹は手炙りに煙草火をいけて、白檀を
燻べながら、奥の室の庭向きのところへ座蒲団を直して、 「ここへ来ておあがんなさい....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
―」 こう叫んで、監視官がその方面に飛んでいく。メリヤス会社の細い煙筒から空を
燻べるように煙が出ている。 監督官はつかつかと事務所に入って行き煙筒を指さしな....