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燻る
「燻る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
燻るの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
命を封付けられる恨みがましい生ものの気配いが、この半分|古菰を冠った池の方に立ち
燻るように感じたこともあるが、復一はそれを自分の神経衰弱から来る妄念のせいにして....
「河明り」より 著者:岡本かの子
すはっきり私に慾望化して来た。 ふと、過去に泊って忘れていたそれ等の宿の情景が
燻るように思い出されて来る。 鱧を焼く匂いの末に中の島公園の小松林が見渡せる大....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
につかうよりほかなかった。彼女は腫れものに触るように庸三を取り扱ったが、ぷすぷす
燻る憎悪の念をどうすることもできなかった。庸三も、最後は潔よくするつもりで、ちょ....
「青年」より 著者:森鴎外
遠の形の下に見た鳥瞰図になって、新聞を飾るだろう。同じ問題でも、今まで焼芋の皮の
燻る、縁の焦げた火鉢の傍で考えた事が発表せられた代りに、こん度は温室で咲かせた熱....
「石油の都バクーへ」より 著者:宮本百合子
見ると、店も住居もたった一つであった。奥に家族の寝台がある土間に床几と卓を並べ、
燻る料理ストーブが立っているわきの壁に、羊の股肉とニンニクの玉とがぶら下っている....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
の中に悄然として見えたが、面には一種不可言の勇気と喜の色が微に動いた。 「おお、
燻る燻る、これは耐りませぬ、お目の悪いに。」 一団の烟が急に渦いて出るのを、掴....
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
無数の人間。 噴き崩れた余燼のかさなりに 髪をかきむしったまま 硬直した 呪いが
燻る 濃縮され 爆発した時間のあと 灼熱の憎悪だけが ばくばくと拡がって。 空間....
「氷河」より 著者:黒島伝治
木のように、雪の中で点火されぷす/\燻りながら炭になってしまうのだった。雪の中で
燻る枕木は外へは火も煙も立てなかった。上から見れば、それは一分の故障もない完全な....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
焚火の前にひざまずいた。 「ここは何という所であろうか。」と、小坂部はあいにくに
燻る落葉の煙りを袖に払いながら訊いた。 「知りませぬ。まだ播磨路へは行き着きます....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
! 幽霊じゃ! 」 「おい、おれは幽霊じゃないぞ、俺はやはり人間だぞ! そんなに
燻るない! 」 賀川豊彦は煙にむせびなからそう叫んだ。 しかし誰も答えるもの....
「木綿以前の事」より 著者:柳田国男
名にしているのである。佐賀・長崎の方面には、またフスリ竹という名もある。フスルは
燻るという動詞の方言のようだから、この地方では焚付けのために、すでにこの竹を使っ....