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爪の垢
「爪の垢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
爪の垢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「眉山」より 著者:太宰治
んな事ばかり。」 平然たるものである。 「おい、君、汚いじゃないか。客の前で、
爪の垢《あか》をほじくり出すなんて。こっちは、これでもお客だぜ。」 「あら、だっ....
「花火」より 著者:太宰治
感じで、そうしてやたらに怒りっぽく、芸術家の天分とでもいうようなものは、それこそ
爪の垢《あか》ほども無く、幼い頃から、ひどく犬が好きで、中学校の頃には、闘犬を二....
「富士」より 著者:岡本かの子
た。娘の神が神としていちばん大事な修業をする間、少しでも娘の気を散らさないよう、
爪の垢《あか》ほどの穢《けが》れを持来さしめぬよう心懸けて呉れるのがほんとの親子....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
なかった。可憐《かれん》で優しくてそうして品格もあった。厭味とか憎気とかいう所は
爪の垢《あか》ほどもなかった。どう見ても野菊の風だった。 しばらくは黙っていた....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
剃刀《かみそり》も内証で触《あ》て、長湯をしても叱られず、思うさま磨《みが》き、
爪の垢《あか》も奇麗に取って、すこしは見よげに成ました。奥様から頂いた華美《はで....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
に比ぶれば、八年の辛苦がなんじゃ」 「八年探して、根の尽きる武士に、幸太郎兄弟の
爪の垢でも、煎じて飲ませたい」 世評は、成功者を九天の上に祭り上げると共に、失....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
ざま見い。うら等、やること、なすことが、みんなうまくあたるんじゃ。わいら、うらの
爪の垢なりと煎じて飲んどけい。」 彼は太平楽を並べていばっていた。 「何ぬかす....
「あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
であった。それにしてもそれは彼自身の愚かな気持の滓《かす》であって、事を暴露する
爪の垢《あか》ほどのききめにもならないことは、考え惑うことが子供じみているだけに....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
)しかろうなあ」 と眼をしばたたいた。その云い方は普通人の所謂挨拶らしい感じが
爪の垢ほどもなかった。心持ちカスレた真情の籠もった声であった。 ....
「サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
女が最前公爵の兄と弟について自分に私語したようなあのような猛烈な調子は、あれきり
爪の垢ほども聞くことが出来なかった。公爵がその弟大尉……今どこにいるのやら……の....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
なかったから、奴め自殺しやがったかとお考えかも知れないが、ナニ、ぼくのことなんか
爪の垢ほども考えてやしないだろうがさ。ハハ。しかし、お名残り惜しいんだ。純粋にそ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
番頭さんだけは、ちッとは女遊びぐらいしたかも知れませんが、ほかの白鼠なみのことは
爪の垢ほどもしたことのない律儀者でございます。細々と行商して貧乏ぐらしをしている....
「髪」より 著者:織田作之助
にも生活にも敬意を払うことは不可能だと思った。彼はラスプーチンのような顔をして、
爪の垢を一杯ためながら下宿の主婦である中年女と彼自身の理論から出たらしいある種の....
「食べもの」より 著者:佐藤垢石
しょうね」 「そりゃ、わし共にも分かりゃしねえがの」 「飛んでもねえ、納得なんか
爪の垢ほどもいっていねえよ」 「それじゃ、組合の値段が安過ぎるというのかね」 「....
「墓地の殺人」より 著者:小酒井不木
した。 それから俊夫君は、耳かきを持って、死体の耳の垢を取りました。次いで手の
爪の垢、足の
爪の垢を注意して集めました。 住職は、俊夫君のすることを好奇の眼を....