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爪先
「爪先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
爪先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
面白そうに、ただ敏子を眺めていた。反《そ》らせた喉《のど》、膨《ふくら》んだ胸、
爪先《つまさき》に重みを支えた足、――そう云う妻の姿を眺めていた。
「取れないか....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
どう》を通り過ぎると、人通りもだんだん減りはじめた。僕は受け身になりきったまま、
爪先ばかり見るように風立った路を歩いて行った。
すると墓地裏の八幡坂の下に箱車....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
一本つけ、前よりも気楽に歩いて行った。
石炭殻《せきたんがら》などを敷いた路は
爪先上《つまさきあが》りに踏切りへ出る、――そこへ何気《なにげ》なしに来た時だっ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
、烈しい頭痛までして来ました。そこで気を紛《まぎら》せたい一心から、今まで下駄の
爪先ばかりへやっていた眼を、隣近所へ挙げて見ると、この電車にもまた不思議があった....
「或る女」より 著者:有島武郎
二等車の昇降口の所に立っていた車掌は右の手をポッケットに突っ込んで、靴《くつ》の
爪先《つまさき》で待ちどおしそうに敷き石をたたいていたが、葉子がデッキに足を踏み....
「或る女」より 著者:有島武郎
いのためにやせ細ってお婆《ばあ》さんのようになってしまったこのからだを頭から足の
爪先《つまさき》まで御覧に入れますから……今さらおあきれになる余地もありますまい....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
たのは河野英吉。白地に星模様の竪ネクタイ、金剛石の針留の光っただけでも、天窓から
爪先まで、その日の扮装想うべしで、髪から油が溶けそう。 早や得も言われぬ悦喜の....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ともするとすぽりすぽりと踏み込んだ。 雪におおわれた野は雷電峠のふもとのほうへ
爪先上がりに広がって、おりから晴れ気味になった雲間を漏れる日の光が、地面の陰ひな....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
無上の歓喜のために破れようとした。思わず身をすり寄せて、素足のままのフランシスの
爪先きに手を触れると、フランシスは静かに足を引きすざらせながら、いたわるように祝....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
無からは虚無しか出てこない』と言ったような文句がうようよするほどある。彼は頭から
爪先まで仕事の実体性という観念に浸されていたのである。またコールディングは次のよ....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
、溢るる裳の紅を、しめて、踏みくぐみの雪の羽二重足袋。幽に震えるような身を緊めた
爪先の塗駒下駄。 まさに嫁がんとする娘の、嬉しさと、恥らいと、心遣いと、恐怖と....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
て、お爺さんの後について出掛けました。 岩屋から少し参りますと、モーそこはすぐ
爪先上りになって、右も左も、杉や松や、その他の常盤木のしんしんと茂った、相当険し....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
めた。三人は又前のように、重いトロッコを押し始めた。竹藪は何時か雑木林になった。
爪先上りの所所には、赤錆の線路も見えない程、落葉のたまっている場所もあった。その....
「大切な雰囲気」より 著者:石井柏亭
傾向の画風と手法が発達しつつあり」と云い、立秋奈良風景を描いては猿沢池から春日へ
爪先あがりのかんかん照りの坂道を「丁度張物板を西日に向って立てかけてあるのと同じ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
めた。」と捻じれば開くにぞ、得たりと内へ忍び入りぬ。 暗闇を歩むに馴れたれば、
爪先探りに跫音を立てず。やがて壇階子を探り当て、「これで、まず、仕事に一足踏懸け....