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爪先上り
「爪先上り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
爪先上りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「若杉裁判長」より 著者:菊池寛
心持で、ジゴマ団の襲来を待っていました。すると、刑事たちがいい加減退屈した頃に、
爪先上りになった参詣道を、マントを着た一人の男が急ぎ足に上ってきたそうです。刑事....
「雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
、立木の腹が、夜光の菌でもあるように、ボーツと白く明るくなった。 知らぬ間に、
爪先上りとなって、馬返しまで着くと思いがけなく村の男女が、四人ばかり籠をしょって....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
鶴港から上陸して、吉浜を四五丁まいると向うに見えます。吉浜から宮上村まで此の間は
爪先上りの路で一里四丁ほどです。温泉宿は湯屋(加藤廣吉)藤屋(加藤文左衛門)藤田....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
いた上を、ぐいと曳出して、それから、がたがた。 大崩まで葉山からは、だらだらの
爪先上り。後はなぞえに下り道。車がはずんで、ごろごろと、私がこの茶店の前まで参っ....
「石ころ路」より 著者:田畑修一郎
イ」さんにつれられて見物に行った。宿屋の外へ出ると、そこは例の石畳の路だ。そこを
爪先上りにのぼって行くと、上手から人影が三つ四つ下りてくる。話声で年配のおかみさ....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
泉道と書いた、傍示|杭に沿いて参りまする。 行くことおよそ二里ばかり、それから
爪先上りのだらだら坂になった、それを一里半、泊を急ぐ旅人の心には、かれこれ三里余....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
き金魚もあわれまた継母の手に掛りやせむ。 我が居たる町は、一筋細長く東より西に
爪先上りの小路なり。 両側に見好げなる仕舞家のみぞ並びける。市中の中央の極めて....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
て、お爺さんの後について出掛けました。 岩屋から少し参りますと、モーそこはすぐ
爪先上りになって、右も左も、杉や松や、その他の常盤木のしんしんと茂った、相当険し....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
めた。三人は又前のように、重いトロッコを押し始めた。竹藪は何時か雑木林になった。
爪先上りの所所には、赤錆の線路も見えない程、落葉のたまっている場所もあった。その....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
その上に点出された馬上の二人と、まるで外国の絵のようだ。 熔岩の道は、だんだん
爪先上りになり、やがてまた谷のような、くぼみの所まで出ると、夫人は手綱をしめて馬....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
いる、巨大な年老いた木々の間から、夕日が砂金のように時々こぼれた。道は思い切った
爪先上りで、胸を突きそうな所さえあった。大岩が行く手にころがっていて、それを巡っ....
「淡紫裳」より 著者:佐藤垢石
こかに胸突八丁という難路があるが、そんな道は愚かである。約一里の道が、ことごとく
爪先上りだ。雪橋の下からくぐり出す渓水を汲んで渇を癒し、吐息をつきながら鉄の鎖を....
「平ヶ岳登攀記」より 著者:高頭仁兵衛
小千谷駅に達する、そこから人力車または馬車で約五里を行くと小出町である、小出から
爪先上りとなって約三里を行くと、日本第一ラジウム温泉の称ある北魚沼郡湯谷村|橡尾....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
流れて来る。所謂越中平の平野はここに尽きて、岩を噛む神通川の激流を右に視ながら、
爪先上りに嶮しい山路を辿って行くと、眉を圧する飛騨の山々は、宛がら行手を遮るよう....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
。 山稜は凸凹だらけになって、矮い偃松や灌木の密生した中に切明けが通っている。
爪先上りに登って行くと直ぐのろのろした馬の背のような峰頭に立った。此処が赤兀の南....