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「爪皮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

爪皮の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野分」より 著者:夏目漱石
をさして鳩を見ている。あらい八丈《はちじょう》の羽織を長く着て、素足《すあし》を爪皮《つまかわ》のなかへさし込んで立った姿を、下宿の二階窓から書生が顔を二つ出し....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
かるみでもお関いなしにガタビシと進んで行くので、泥が礫のように四方に飛んだ。粋な爪皮をつけた足駄を穿いた年増が危げにその間を縫いながら、着物に撥ねかけられた泥を....
足迹」より 著者:徳田秋声
か信用ができて株などに手を出していたが、頚に白羽二重を捲きつけて、折り鞄を提げ、爪皮のかかった日和下駄をはいて、たまには下宿へもやって来るのを、お庄もちょいちょ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
した。 横笛だけは、お嬢さんを三人で包んで立った時、焦茶の中折帽を真俯向けに、爪皮の掛った朴歯の日和下駄を、かたかたと鳴らしざまに、その紋緞子の袴の長い裾を白....
電車の見えない電車通り」より 著者:宮本百合子
た。この線はふだんでも随分待たなければ来ないところである。雨の用意の洋傘を中歯の爪皮の上について待っていると、間もなく反対の方向から一台バスがやって来た。背広で....
二人の弟たちへのたより」より 著者:宮本百合子
ていたら、いかにも菊作りしそうな小商人風の小父さんが、ピンと折れ目のついた羽織に爪皮のかかった下駄ばきで、菊花大会会場と立札の立っている方の小道へ歩いて行きまし....
雪の夜」より 著者:小林多喜二
中へちょっと口笛を吹いてみた。が、出てこない。その時、龍介はフト上りはなに新しい爪皮のかかった男の足駄がキチンと置かれていたのを見た。瞬間龍介はハッとした。とん....
農村」より 著者:宮本百合子
コロコロする下駄で、そのまま歩く事を工夫した。つまさきをすっかり雪の中へ落して、爪皮一枚を透して雪の骨にしみる様な冷たさを感じながら荷やっかいな下駄を引きずって....
追憶」より 著者:宮本百合子
ない要心にどんな大雨でもそれより外履いた事のない私の足駄――それは低い日和下駄に爪皮のかかったものである――では、泥にもぐったり、はねがじきに上ったりして大層な....
千世子(二)」より 著者:宮本百合子
かったけれど泣きそうな空模様だった。 御昼飯を仕舞うとすぐ千世子は銘仙の着物に爪皮の掛った下駄を履いてせかせかした気持で新橋へ行った。 西洋洗濯から来て初め....
樋口一葉」より 著者:長谷川時雨
かったのであろう。 ある時、女史は雨傘を一本も持たなかった。高下駄《あしだ》の爪皮《つまかわ》もなかった。小さい日和洋傘《ひよりがさ》で大雨を冒《おか》して師....