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爪音
「爪音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
爪音の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
がた》へさすらいの身となっていることを考えると、その指さきから弾き出される優しい
爪音にも、悲しいやるせない女の恨みが籠っているようで、じっと聴いている客は、馬鹿....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
き松の林に入りつ。林をうがちて、桔槹の黒く夕空にそびゆるを望める時、思いがけなき
爪音聞こゆ。「ああ琴をひいている……」と思えば心の臓をむしらるる心地して、武男は....
「源氏物語」より 著者:紫式部
、命婦がかえってはっとした。源氏の聞いていることを思うからである。女王はほのかな
爪音《つまおと》を立てて行った。源氏はおもしろく聞いていた。たいした深い芸ではな....
「源氏物語」より 著者:紫式部
と源氏は言った。玉鬘もそのことはかねてから聞いて知っていた。どうかして父の大臣の
爪音に接したいとは以前から願っていたことで、あこがれていた心が今また大きな衝動を....
「源氏物語」より 著者:紫式部
源氏は思って、忘れようとする心から琴を弾いてみたが、なつかしいふうに弾いた玉鬘の
爪音がまた思い出されてならなかった。和琴を清掻きに弾いて、「玉藻はな刈りそ」と歌....
「源氏物語」より 著者:紫式部
いくものであるからむずかしい芸で、そしてまたおもしろいものなのである。右衛門督の
爪音はよく響いた。一つのほうの和琴は父の大臣が絃もゆるく、柱も低くおろして、余韻....
「源氏物語」より 著者:紫式部
た。大将は和琴に特別な関心を持っていたが、それはなつかしい、柔らかな、愛嬌のある
爪音で、逆にかく時の音が珍しくはなやかで、大家のもったいらしくして弾くのに少しも....
「源氏物語」より 著者:紫式部
どことよりほかにえやは言ひける ともお言いになるのであった。非常におもしろいお
爪音であって、おおまかな音の楽器ではあるが、芸の洗練された名手が熱心にお弾きにな....
「源氏物語」より 著者:紫式部
を触れないでいると、夫人は末の子の侍従を使いにして、 「あなたのは昔の太政大臣の
爪音によく以ているということですから、ぜひお聞きしたいと思っているのです。今夜は....
「源氏物語」より 著者:紫式部
使われぬ琴は緒がゆるんでいたから盤渉調にしてお合わせになった。夫人の掻き合わせの
爪音が美しい。催馬楽の「伊勢の海」をお歌いになる宮のお声の品よくおきれいであるの....
「源氏物語」より 著者:紫式部
なったのち、この家で楽器などというものに久しく手を触れたことがなかったと、自身の
爪音さえも珍しく思われ、なつかしい絃声を手探りで出し、目は昔の夢を見るように外へ....
「「平家物語」ぬきほ(言文一致訳)」より 著者:作者不詳
うつほどもなく片折戸にしたる門に琴を引きすまして居る様子はまがうかたなく小督殿の
爪音である。楽は何かときくと男思うて恋うとよむ想夫恋をひいて居られる。楽は沢山あ....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
そうして、出戻りの侘びしい身の憂さを糸の調べに慰めているのである。思いなしかその
爪音は、人の涙をはじき出すように哀れに顫えていた。お菊はその沈んだ音色を聴くたび....
「朱絃舎浜子」より 著者:長谷川時雨
や、ほんのこっちゃ。」 鼓村師は、自分の作曲したものでも、自分で忘れた部分は、
爪音《つまおと》をとめて、絃《いと》の上に手を伏せたまま唄《うた》っていることが....
「紫式部」より 著者:長谷川時雨
の上《うえ》に似ているといったことを、書いたこともある。 それは、朱絃舎浜子の
爪音《つまおと》が、ちょっと、今の世に、類のない筝《こと》の妙音であること、それ....