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「片一方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

片一方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青春の逆説」より 著者:織田作之助
生命保険の勧誘員にも成れないんだ)としょんぼり頭に泛んで、腹を立てる元気もなく、片一方の足で踏まれた足をこそこそと撫でていた。が、帰ると、日本畳新聞社から記者採....
夜行巡査」より 著者:泉鏡花
。なんの縛ろうとは謂《い》やしめえし、あんなにびくびくしねえでものことさ。おらあ片一方で聞いててせえ少癇癪《すこかんしゃく》に障《さわ》って堪《こた》えられなか....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
その顔を背けたまま、「はい、何を差上げます。」と言う声が沈んで、泣いていたらしい片一方の目を、俯向けに、紅入友染の裏が浅葱の袖口で、ひったり圧えた。 中脊で、....
大阪発見」より 著者:織田作之助
てしないけれど、例えば日本橋筋四丁目の五会という古物露天店の集団で足袋のコハゼの片一方だけを売っているのを見ると、何かしら大阪の哀れな故郷を感ずるのである。 ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
半纏を引かけた姿でちょいと屈み、掌で黒斑を撫でた、指環が閃いたと見ると、犬の耳が片一方、お兼の掌の上へ血だらけになって乗ったのである。人間でもわけなしだよ、と目....
星女郎」より 著者:泉鏡花
ふっくりと円く抜けると、麻の目が颯と遮ったが、直に底澄んだように白くなる……また片一方を脱いだんです。脱ぐと羅の襟が、肉置のほどの好い頸筋に掛って、すっと留まっ....
褐色の求道」より 著者:岡本かの子
い眠り、この方がどのくらい価値があることかわかりません。第一、時間から言っても、片一方は五六十年の間ですし片一方は無限の間です。どっちが人間としても本当の生涯か....
明暗」より 著者:岡本かの子
。三木雄は真直ぐに首は立てているが丘の斜面にめんまっている。律義に組み合せた手の片一方に細く光る結婚指輪も、智子自身が新婚旅行のホテルの一室で、旅鞄から取り出し....
山の湯の旅」より 著者:上村松園
もなく悠然と乗っていたわけです。馬の背の鞍の両側に、旅人の納まる櫓が二つあって、片一方に一人ずつ、つまり二人が定法なのですが、乗るのが私一人なのですから、片一方....
秋深き」より 著者:織田作之助
きにと、湯殿の戸をあけた途端、化物のように背の高い女が脱衣場で着物を脱ぎながら、片一方の眼でじろりと私を見つめた。 私は無我夢中に着物を着た。そして気がつくと....
三枚続」より 著者:泉鏡花
ぐって出て、まず水のある処へ行きましたがね。 水ッてのは何、深川名物の溜池で、片一方は海軍省の材木の置場なんで、広ッ場。 一体堀割の土手|続で、これから八幡....
註文帳」より 著者:泉鏡花
の時計台の見える処で、鉄道馬車の線路を横に切れようとする発奮に、荷車へ突当って、片一方の輪をこわしてしまって、投出されさ。」 「まあ、お危うございます、」 「ち....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
、相手に捉われやすく、実在的の見方は超人間的で冷静ではあるが生気がない。どちらも片一方だけでは世の中の万事がうまく行きません。これを調和させて、両方有効に使って....
俗臭」より 著者:織田作之助
る内に、分った。廃球の中に、「ヒッツキ」というのがある。線が全然切れてしまわず、片一方外れているだけで、加減すると、巧く、外れた場所にヒッツクのである。灯をいれ....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
を翻えして、あの女よりも亭主を探す積りなのではあるまいか。いずれにしても女か男か片一方を発見すれば、それによって事件の糸口がたぐり出せるかも知れない。 仲店の....