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「片側〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

片側の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浅草公園」より 著者:芥川竜之介
かに仁王門が見える。樹木は皆枯れ木ばかり。 3 仲店の片側《かたがわ》。外套《がいとう》を着た男が一人《ひとり》、十二三歳の少年と一し....
魚河岸」より 著者:芥川竜之介
。このまま河岸を出抜けるのはみんな妙に物足りなかった。するとそこに洋食屋が一軒、片側《かたかわ》を照らした月明りに白い暖簾《のれん》を垂らしていた。この店の噂は....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
しくだだっ広い北海道の七間道路が向側《むこうがわ》まではっきりと照らされていた。片側町ではあるけれども、とにかく家並があるだけに、強《しい》て方向《むき》を変え....
星座」より 著者:有島武郎
《ひきだし》も何もない机の前に坐った。机の上には三分|芯《じん》のラムプがホヤの片側を真黒に燻《くすぶ》らして暗く灯っていた。机の片隅には「青年文」「女学雑誌」....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
庭を行抜けに、土間へ腰を掛けさせる天麩羅茶漬の店があった。――その坂を下りかかる片側に、坂なりに落込んだ空溝の広いのがあって、道には破朽ちた柵が結ってある。その....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
りと額に当てられた時は、小僧は悚然として震上った。 大川の瀬がさっと聞こえて、片側町の、岸の松並木に風が渡った。 「……かし本。――ろくでもない事を覚えて、此....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
ろうかというのもあった。 そこで、宗吉が当時寝泊りをしていたのは、同じ明神坂の片側長屋の一軒で、ここには食うや食わずの医学生あがりの、松田と云うのが夫婦で居た....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
――ぶらぶら歩行き出すと、ツンツンテンレン、ツンツンテンレン。 三片側はどす黒い、水の淀んだ川に添い、がたがたと物置が並んで、米俵やら、筵やら、炭....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
片側は空も曇って、今にも一村雨来そうに見える、日中も薄暗い森続きに、畝り畝り遥々....
黒百合」より 著者:泉鏡花
るけれども、富山で賑かなのは総曲輪という、大手先。城の外壕が残った水溜があって、片側町に小商賈が軒を並べ、壕に沿っては昼夜交代に露店を出す。観世物小屋が、氷店に....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
、向を代えて、もう構わず、落水の口を二三ヶ所、ざぶざぶ渡って、一段踏んで上ると、片側が蘆の茂りで。」 「透かした前途に、蘆の葉に搦んで、一条白い物がすっと懸った....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
両袖を合せて、小刻みにおいでなさる。蝙蝠だか、蜘蛛だか、奴は、それなり、その角の片側の寝具部屋へ、ごそりとも言わず消えたげにござりますがな。 確に、カチリと、....
歯車」より 著者:芥川竜之介
りしているうちにいつかコック部屋へはいっていた。コック部屋は存外明るかった。が、片側に並んだ竈は幾つも炎を動かしていた。僕はそこを通りぬけながら、白い帽をかぶっ....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
してみると、わたしがまだ少年のころはじめて栗鼠射ちで手柄をたてたのは、この渓谷の片側に茂っている高い胡桃の木の林だった。わたしがその林のなかにはいりこんだのはち....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
が、三尺二尺、五寸ぐらいに、川べりの田舎道|遥になると、ざあと雨の音がして、流の片側、真暗な大な竹藪のざわざわと動いて真暗な処で、フッと吸われて消えました。 ....