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片寄せる
「片寄せる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
片寄せるの前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
白き残骸《なきがら》の完《まった》きを毀《こぼ》ちて、心《しん》に潜む赤きものを
片寄せる。温《ぬく》もる穴の崩《くず》れたる中には、黒く輪切の正しきを択《えら》....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
も止まりがち、三膳の飯を二膳で済まして、何時《いつ》もならグッと突出す膳もソッと
片寄せるほどの心遣い、身体《からだ》まで俄《にわか》に小いさくなったように思われ....
「三郎爺」より 著者:宮本百合子
両手に下げて二三度往来すると、もう彼の引越しは済んでしまった。 そして荷を少し
片寄せると、仰天するおまさを尻目にかけて、彼は悠々然と山沢さんへ、引越しの報告に....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
余が屡赤布を側の壁際へ寄せたるに、同人もまたそれに応じて、埋もれんばかりに身体を
片寄せるかと思えば、また銃器に触れると、同時に身体を離し、その儘静止する事もあり....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
わろう」と漸く武道者は手を緩めた。 「これもこちらへ隠しまして」と美少年は草籠を
片寄せると見せて、利鎌取るや武道者の頸に引掛け、力委せにグッと引いた。 「わッ」....
「ロウモン街の自殺ホテル」より 著者:牧逸馬
に重い窓掛《カアテン》を通す鉄棒がかかっている。ブルウス・テイラアは、カアテンを
片寄せる強い組紐で首を吊って、その鉤からぶら下がって死んでいた。顔が、別人のよう....
「青蛙神」より 著者:岡本綺堂
とだな。 第二の男 それも娘の死んだお蔭だ。 (二人はそっと榻を片寄せ、更に卓を
片寄せる。それから壁の隅にある鋤と鍬のたぐいを持ち来りて、卓の下と思われるあたり....