片息[語句情報] »
片息
「片息〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
片息の前後の文節・文章を表示しています。該当する6件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
た。男は、手頃に傷けてまだ息を残さしてある雄鹿を小脇に抱えていた。女を見出すと、
片息の鹿を女の足元に抛り出した。それから身体中が辛痒ゆい毒の歯に噛まれでもするよ....
「食魔」より 著者:岡本かの子
ればいいのだ」鼈四郎は幼い時分から辛い場合、不如意な場合には逃れずさまよい込み、
片息をついたこの無可有の世界の観念を、青年の頭脳で確と積極的に思想に纏め上げたつ....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
……とう……と、と、と……」 声は次第に弱った、涙は泉のごとくわいた、そうして
片息になって寝台に手をかけた、もう這いあがる力もない。 病院の外で子供等がうた....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
八町ばかり往来の留まる程だったが、何が難有えか、まるで狂人だ。人の中を這出して、
片息になってお前、本尊の前へにじり出て、台に乗っけて小さな堂を据えてよ、錦の帳を....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
が通な人々の間に喧伝され、そろそろ売上げも多くなり、今日日《きょうび》はどうやら
片息吐いているから、この分でいけば日ならずして店の調子も立ち直ろうとの取り沙汰。....
「それから」より 著者:夏目漱石
は、平岡の凡《すべ》てが、あたかも肺の強くない人の、重苦しい葛湯《くずゆ》の中を
片息で泳いでいる様に取れた。 「あんなに、焦《あせ》って」と、電車へ乗って飛んで....