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「片方〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

片方の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
なでながら、自分の上にばかり注がれる満座の視線を小うるさそうに払いのけた。そして片方の手でだいぶ乱れた鬢《びん》のほつれをかき上げて、葉子の視線は人もなげに古藤....
星座」より 著者:有島武郎
まいもんだな」 ガンベがそういった。そうして一同が高く笑い崩れるにしたがって、片方の牡蠣《かき》のように盲《めし》いた眼までを輝かして顔だけでめちゃめちゃに笑....
碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
石で亀を作ろうとした。亀の方は出来たけれども、兎の方はあんまり大きく作ったので、片方の耳の先きが足りなかった。もう十ほどあればうまく出来上るんだけれども、八っち....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
よく――全くおりよく、天運だ――その時船の横面に大きな波が浴びせこんで来たので、片方だけに人の重りの加わった船はくるりと声をあげて男泣きに泣くか、それとも我れを....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
葉の頃は、物参りには最も愉快な時である。三人一緒になってから、おとよも省作も心の片方に落ちつきを得て、見るものが皆面白くなってきた。おのずから浮き浮きしてきた。....
恐竜島」より 著者:海野十三
た。 「あ、いててっ、痛い」 「つかまえればいいじゃないか」 「そうはいかんよ、片方の手でカメラを差しあげているんだからね、左手一本じゃつかまらないよ」 「そう....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
。) 百姓家二三軒でもう畷だが、あすこは一方畑だから、じとじと濡れてるばかり。片方に田はあっても線路へ掛けて路が高い。ために別に水らしい様子も見えん。踏切を越....
白光」より 著者:井上紅梅
えたので、自分の口でもいいなおしてみた。 「今度もこれでお終い」 彼はたちまち片方の手を上げて指折数えて考えてみると、十一、十三囘、今年も入れて十六囘だ、とう....
私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
どころであつた。 あとの二つは場末にあつてともに三流であるが、この三流のうちの片方はまつたくはいつたことがないので私は知らない。 知つているのは伊予鉄道の松....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
通りに実験が進行すると、時々低い声で唄を歌ったり、横に身体を動して、代わるがわる片方の足で釣合をとったりする。予期している結果を助手に話すこともある。 用が済....
作画について」より 著者:上村松園
でいざり寄られ、針を眼の高さまで挙げ、右の手には縫糸の先を持たれたままの格好で、片方の眼をほそく細く閉じられて、じっと針の目を通そうとなさっている……その姿が私....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
た、近くの河で魚をとるための網がさがっていた。夏使うベンチが両側にならんでいて、片方の端に大きな紡ぎ車があり、もう一方にバタつくり機械がおいてあるのを見れば、こ....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
げ出しはしたものの、肝心の証拠をそこに残してしまったのである。 証拠というのは片方の草履だった。音をたてまいために彼がわざわざ穿いて行ったR家独特のぼろを交ぜ....
透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
ら目のまえの草のうえに、二|足の長靴をきちんとならべて、つくづくと見いっていた。片方はいままではいていた長靴で、片方はさっきもらったばかりの長靴だ。 いままで....
三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
ありました。伊作は赤児の泣くのも耳に入らないと言うように、その財布を取り上げて、片方の端を持って振り廻して見るとその中から小判がどっさり出て来ました。それを見て....