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片明り
「片明り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
片明りの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
日光を跳らせたりした。空の一部は印度藍色に濃く片曇りし、村と緑の麦の一部は眩しい
片明りして、ミレーの「春」を活かして見る様であった。
(四)摘草....
「赤い貨車」より 著者:宮本百合子
るように、その男もナースチャの顔をはっきり見もせず、麦酒屋《ピブナーヤ》の窓から
片明りのさす歩道でささやくのであった。 十 入ったばかりのとこ....
「伸子」より 著者:宮本百合子
にくるけはいがした。 「今晩は――」 伸子は曇硝子の障子をあけて、外を覗いた。
片明りで女の横顔が見えた。 「今晩は」 「あの、お向うの山下でございますが――先....
「斜坑」より 著者:夢野久作
のまま又も引付けられるように福太郎の顔を振り向いて半身を傾けた。赤黄色いラムプの
片明りの中に刻一刻と蒼白く、痛々しく引攣れて行く福太郎の顔面表情を、息を殺して、....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
私が敵さ。」 「あれ、のけのけと、あんな憎いこと言いなさんす。」と言う処へ、月は
片明りの向う側。狭い町の、ものの気勢にも暗い軒下を、からころ、からころ、駒下駄の....
「山の手の子」より 著者:水上滝太郎
て見る間《ま》にあわただしく日が沈めばどこからともなく暮れ初めて坂の上のほんのり
片明りした空に星がチロリチロリと現われて煙草屋の柳に涼しい風の渡る夏の夜となる。....
「塵」より 著者:夢野久作
根に坐った蒼白い、痩せ細った禿頭が、軒先からためらい流れて来る長い長い昼さがりの
片明りの中に、黒い拡大鏡を片眼に当てがいながら、チロチロとよろめく懐中時計のハラ....
「三階の家」より 著者:室生犀星
見戍った。松岡は立ったまま、先きに行く気がしなかった。蝋燭を手に持った主婦の顔が
片明りで悪鬼のように、あぶらぐんで見えた。 「さむくなりましたね。」 「ええ。」....