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片肘
「片肘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
片肘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ない。」
彼は心の中でこう叫びながら、いまいましそうに原稿を向うへつきやると、
片肘《かたひじ》ついてごろりと横になった。が、それでもまだ気になるのか、眼は机の....
「母」より 著者:芥川竜之介
》れ途切れに続き出した。
「おい。敏子《としこ》。」
半ば体を起した男は、畳に
片肘《かたひじ》靠《もた》せたまま、当惑《とうわく》らしい眼つきを見せた。
「お....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
にくっくと込み上げる感情が、意識された。 かの女は、潜り門に近い洋館のポーチに
片肘を凭せて、そのままむす子にかかわる問題を反芻する切ない楽しみに浸り込んだ。 ....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
ら、ここよ」 「なんて、ませたやつだ」 座敷へ入って来てから、ここまでの所作を
片肘つき、頬を支えて、ちょうどモデルでも観察するように眼を眇めて見ていた逸作は、....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
は言われたくない、』と言っていますさ。」とまた兄の声で。 夫のうわさだ。お民は
片肘を枕に、和助に乳房をくわえさせ、子供がさし入れる懐の中の小さな手をいじりなが....
「斜陽」より 著者:太宰治
私はおどろき、 「どんなお家だか、見もしないうちに、……」 お母さまは机の上に
片肘を立て、額に軽くお手を当て、小さい溜息をおつきになり、 「和田の叔父さまが、....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
に困らぬ――死ぬ迄は困らぬのだ。やれやれ! 兎も角も、お蔭さまで助かりますと、
片肘に身を持たせて吸筒の紐を解にかかったが、ふッと中心を失って今は恩人の死骸の胸....
「メールストロムの旋渦」より 著者:佐々木直次郎
に、彼は体の重みの半分以上も突き出るくらい無頓着に身を投げだして休んでいて、ただ
片肘をそのなめらかな崖ぎわにかけて落ちないようにしているだけなのであるが、――こ....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
てあげますよ。」 それから屈托そうに体をよじって椅子にかけて八角テーブルの上に
片肘つきながら、新吉の作った店頭装飾の下絵の銅版刷りをまさぐる。壁の嵌め込み棚の....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
のように膨れ、ムッと前方に差し出されているので、格好がつかず奇形に見えた。曲※に
片肘を突いて居り、その手の腕から指にかけて、熊のように毛が生えていた。 蝦蟇の....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
、あやしげな恰好をした黒い影のなかへ消え失せる。 カテリーナ・リヴォーヴナは、
片肘たてて起き返ると、高だかと伸びた庭の草を眺めわたした。その草もやっぱり、木々....
「審判」より 著者:カフカフランツ
っていう人いる?」 十三になるかならぬかのいくらか佝僂のその少女は、きかれると
片肘でKを突き、そばから彼の顔をじっと見た。その子の幼さも不具も、この子がすでに....
「とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
太郎は三十五六のお坊っちゃん上り、盲目縞の半纏の上へ短い筒袖の被布を着て、帳場に
片肘かけながら銀煙管で煙草を喫っている。その上体を支えて洗い浄められた溝板の上に....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ヘエ。
胡弓がこんな音をする。
羊飼奴は気が急いて、駆け附けた。
その時はずみに
片肘が
一人の娘に打っ衝かる。
元気な尼っちょが顔を見て云った。
「お前さんよっ....
「はつ恋」より 著者:神西清
さい家具の並べ方も、まるで急場しのぎにやってのけたといった様子だった。窓ぎわの、
片肘の折れた肘掛椅子に坐っているのは、年の頃五十ほどの、髪をむき出しにした器量の....