片肱[語句情報] » 片肱

「片肱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

片肱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
自叙伝」より 著者:大杉栄
れて、壁を背にして坐った。議論は宗教問題らしかった。年とった方はあぐらをかいて、片肱を膝に立てて顎をなでながら、しきりに相手の青年をひやかしながら無神論らしい口....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
云ってますよ」 「さよう、まったく神秘的な事件です」と法水は伸ばした肢を縮めて、片肱を卓上に置いた。「ですから、指紋が取れようが糸が切れていようが、とうてい駄目....
星女郎」より 著者:泉鏡花
駆込んで参りました。 (お先達、水を一口、) と云うと、のめずって、低い縁へ、片肱かけたなり尻餅を支いたが、……月明りで見るせいではござらん、顔の色、真蒼でな....
操守」より 著者:豊島与志雄
、そして鼻が無意味に高い……。その首を、伸び伸びと、綺麗な肌を見せながら、卓子に片肱をつき、片方の肩を落して、横坐りに、裾をさばいて……。それへ、岡野は縋りつい....
女と帽子」より 著者:豊島与志雄
り間があることを見ると、珈琲をも一杯あつらえておいて、煙草をふかし始めた。卓子に片肱をついて、掌で※を支えながら、時々瞼をとじては、何かぴくりとしたように見開い....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
一団中にすわってる彼女を、横から見やった。彼女は肱掛椅子《ひじかけいす》の腕木に片肱をつき、身体を少しかがめ、手先で頭をささえて、怜悧《れいり》なしかも心を他処....
化生のもの」より 著者:豊島与志雄
か、浅野は迷ってるらしかった。 美枝子の頬にかすかな微笑が浮んだ。彼女は卓上に片肱をつき、手先で煙草をもてあそびながら、浅野を眺めた。 浅野はいつも、彼女に....
浅間噴火口」より 著者:豊島与志雄
い、というのである。 李はおとなしく、着物にきかえ、褞袍をひっかけて出て来た。片肱を長火鉢にもたせ煙管で莨を吸ってる正枝の前に、恐縮したようなお辞儀をした。 ....
乾杯」より 著者:豊島与志雄
物はチーズにピーナツというところでした。それから、ベランダの小卓に、山川正太郎が片肱をついて、掌に額をもたせていました。その前には、ゲテ物ですが、柿酒と称するも....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
してくれらア」 「全然、タダのチンピラだ」 ルミ子はガッカリして、ねころんで、片肱を枕にエンゼルを見つめて、つぶやいた。 「屋敷もちの花つくりのアンチャンも案....
巷談師」より 著者:坂口安吾
らったわけだ。アハハ。まア、君、こッちへ来たまえ」 男はフトンの上に半身を起し片肱で支えている。タバコをにぎった片手で私をさしまねいて、枕元へきて灰皿の向う側....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
と言ってもいいくらいに無頓著であった。彼は、囚人から半ば身をそむけて、被告人席に片肱で凭れかかりながら、立っていた。 「ぜひお頼みします。私の心からの感謝を受け....
深川女房」より 著者:小栗風葉
手早く四つに折って帯の間へ蔵うと、火鉢に凭れて火をせせり出す。 長火鉢の猫板に片肱突いて、美しい額際を抑えながら、片手の火箸で炭を突ッ衝いたり、灰を平したりし....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
、近常さんが一方へお引きなさると。」 簪は袖とともに揺れつつも、 「鏨を取った片肱を、ぴったりと太鼓に矯めて、銀の鶏を見据えなすった、右の手の鉄鎚とかね合いに....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
地のテーブルに、ミルクの空罎だのつまったのだの、ゴチャ交ぜに並べた、その横に素の片肱をついて、同じ亜麻色の髪のセーニャによく似た若い娘が此方を微笑して見ていた。....