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片脇
「片脇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
片脇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「のんきな患者」より 著者:梶井基次郎
《つか》まっているのが自分なので体裁の悪さに途方に暮れながら、その女を促して道の
片脇へ寄せたのであったが、女はその間も他へ注意をそらさず、さっきの「教会へぜひ来....
「名君忠之」より 著者:夢野久作
ながら与一をかえりみた。 「……わ……われが斬ったか……与一……」 与一はその
片脇にベッタリと座りながら無造作に一つうなずいた。唇を切れる程噛んだまま昌秋の顔....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
中を覗いて行ったが、そのうちにヤットの思いで一通り見てしまって、以前の大|卓子の
片脇に出て来ると、思わずホッと安心の溜息をした。又もニジミ出して来る額の生汗をハ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
もならねえ」 人を押し分けて来た仏兵助は、さっぱりした浴衣《ゆかた》をつけて、
片脇には別に一抱えの衣類と旅装束、菅笠までを用意している。 ここで一同は鳴りを....
「北京・青島・村落」より 著者:豊島与志雄
いで、海岸から小山へかけて、自動車を走らせるのもよく、馬車を駆るのもよい。そして
片脇に大小の港をかかえ、背後にまとまった工場地帯を控えている。ドイツによるこの都....
「霊感」より 著者:豊島与志雄
女にとって、日常の居室でもあり、寝室でもあり、祈祷所でもありました。彼女は布団を
片脇に押しやって、祭壇の前に坐りました。 燈明をあげ、礼拝してちょっと眼をつぶ....
「鳶と柿と鶏」より 著者:豊島与志雄
の方へ云った。「毛虫、まだいますか。」 「そうね、いるかも知れないわ。」 庭の
片脇の大きな椿の木へ行って、李はしきりに見上げていたが、やがて巧みに登っていった....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
ら紐でしめて、褪せた桃色の襷掛け……などと言うより、腕露呈に、肱を一杯に張って、
片脇に盥を抱えた……と言う方が早い。洗濯をしに来たのである。道端の細流で洗濯をす....
「ハイカラ考」より 著者:木村荘八
白羽二重のお召物に、緋の袴を召されて、お馬だった。 明治天皇のお馬の道中には、
片脇に侍臣が付き添うて、馬上の陛下に紺蛇の目に銀の蒔絵をしたお傘をさしかけたとい....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ったのです。
それでもなかなか大きなもので三丁四面余あります。その屋敷の大門の
片脇には兵士が立番をして居る。その大門から砥石のような広い段垂の道を登り形に行く....
「上海」より 著者:横光利一
つけたにちがいない、と思うと彼は、再び突っ立ったまま宮子の顔を睨んでいた。宮子は
片脇にクションを抱き込むと、突然大きな声で笑い出した。 「まア、あなたは、心配ば....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
の五味の上へ、立派に毛氈を布いて置け。
先導の女
お后様は物思に沈んで、
片脇に立っておいでになる。
女中達は刈られた牧の草のように萎れている。
女中仲間....
「山の人生」より 著者:柳田国男
悪い者があって、うそをついて皆は他の林へ往ってしまい、自分一人だけ村の白山神社の
片脇の、堂ヶ谷というところで木を拾っているとき、ふと見れば目の前のカナギ(くぬぎ....
「日本の伝説」より 著者:柳田国男
おります。それだからこの温泉は脚気によくきくのだと土地の人はいい、またその湯坪の
片脇に、今でも石の小さな大師様の像を立てて、拝んでいるのだということであります。....
「母の手毬歌」より 著者:柳田国男
ら二十年ほどまえに、奈良の二月堂に献上するという青竹の束が、あの交通の多い街道の
片脇に、いくらもころがしてあるのを見たことがある。川すじや海の上では材木に大きく....