片膝立て[語句情報] » 片膝立て

「片膝立て〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

片膝立ての前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
に、衣兜に片手を突込んだまま、急々と床の間に立向うて、早や手が掛った、花の矢車。片膝立てて、颯と色をかえて、 「不可いよ。」 「なぜかい?」 と済まして見返る....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
す。 その十人が右に五人、左に五人、声のない人のように気味わるく押し黙りながら片膝立て、ずらりと主水之介の両わきへ並んだところへ、当の溝口豊後守がけわしく目を....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
焚火から焼けて了うて、木の閻魔様は灰になり、石の奪衣婆ばかり焼け出されて、露天に片膝立てゝ恐い顔をして居る。鎮守八幡でも、乞食の火が険呑と云うので、つい去年拝殿....
三人の相馬大作」より 著者:直木三十五
素早く立って、右源太の横へ廻った。そして 「立てっ、尋常に、勝負せい」 兄は、片膝立てて、刀をもって 「尋ねた甲斐あって――よくも、父を欺し討とし、あまつさえ....
春昼」より 著者:泉鏡花
て、その中に、ずらりと婦人が並んでいました。 坐ったのもあり、立ったのもあり、片膝立てたじだらくな姿もある。緋の長襦袢ばかりのもある。頬のあたりに血のたれてい....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
根|越の町一つ、こう……田圃の畔かとも思う処でも吹いていら。」 と身忙しそうに片膝立てて、当所なく※しながら、 「音は同じだが音が違う……女房さん、どれが、ど....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
々拝見をしましたよ、……眩しい事でございました。」 「雪のようでしょう、ちょっと片膝立てた処なんざ、千年ものだわね、……染ちゃん大分御念入だねなんて、いつもはも....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
…」 「写実、写実。」 「目の凜とした、一の字眉の、瓜実顔の、裳を引いたなり薄い片膝立てで黒縮緬の羽織を着ていた、芸妓島田の。」 「うむ、それだ。それは婀娜なり....
貧乏」より 著者:幸田露伴
ある肌合なリ。あたりを片付け鉄瓶に湯も沸らせ、火鉢も拭いてしまいたる女房おとま、片膝立てながら疎い歯の黄楊の櫛で邪見に頸足のそそけを掻き憮でている。両袖まくれて....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
変えて、 (不孝者!)といって、握拳で突然環をぶとうとしたから、私も屹となって、片膝立てて、 (何をするんです!)と摺寄ったわ。その時の形相の凄じさは、ま、どの....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
三ツ片羽羽たたきたれど、早や弱り果てたる状なり。 「畜生!」 と鋭く叫び、小親片膝立てて身構えながら、落ちたる煙管の羅宇長きを、力|籠めて掉かざせし、吸残りけ....
南国太平記」より 著者:直木三十五
って、片膝を立てて身構えた。 「何をなさる。無法な――思慮の無い」 百城は、片膝立てたままで、低く、叫んだ。七瀬は、立上って、脇差を、突き出して、じりじり迫....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
しゃぎ始める勘次の差出口を、 「野郎、すっ込んでろい!」と一喝しておいて、藤吉は片膝立てて彦兵衛へ向き直った。 「土地から言やあ提灯屋の持場だ。旦那衆のお声もね....
註文帳」より 著者:泉鏡花
旧の仕事場の座に返って、フト心着いてはッと思った。 「おや、変だぜ。」 五助は片膝立て、中腰になり、四ツに這いなどして掻探り、膝かけをふるって見て、きょときょ....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
、ここの、この塚は―― 親仁様が、貴方のおいでなさいました、その松に居直って、片膝立てて、手首の長く出た流行らない洋服の腕で指さしを。」 おなじ状に、振袖を....