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片雲
「片雲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
片雲の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
の凩《こがらし》なるかな。雪どけの滴声軒をめぐる」
同二十日――「美しき朝。空は
片雲なく、地は霜柱白銀のごとくきらめく。小鳥梢に囀ず。梢頭《しょうとう》針のごと....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
その海を背にして、深谷氏の船室が白々と輝き、風が出たのか白い柱の上空を、足の速い
片雲が夥しく東の空へ飛び去っていた。 やがて食事が済むと、紅茶のカップを持った....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
頂上と思われるあたりまで登りつくと、なるほど富士は西の空にはっきりと見えた。秋天
片雲無きの口にここへ来たのは没怪の幸いであった。帰りは下り坂を面白半分に駈け降り....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
ければならない。 うらうらと空は晴れていた。そこでは雲雀が啼いていた。そうして
片雲が帆走っていた。絹糸のような水蒸気に漉され、油のように質の細かな、午後三時頃....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
た。主人はやおら下駄をぬいで、芝生の真中に大の字に仰臥した。而して一鳥|過ぎらず
片雲駐まらぬ浅碧の空を、何時までも何時までも眺めた。
(明治四十五年 一月十日)....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と能《あた》わざるそのあこがれ。耳に虚空の妙音の天上にのぼり行くを聞けども、身は
片雲《へんうん》の風にさそわれて漂泊に終る人生の悲哀。無限の空間のうちに、眇《び....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
が、源十郎とともに、だんだん小さくなる栄三郎をめざして小走りにかかると、すうっと
片雲に陽がかげって、うそ寒い紺色がはるか並木の通りに落ちた。
このとき、うしろ....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ないのである。というのは、そのおり天頂を振りあおぐと、色も形もない、透きとおった
片雲のようなものが見出されるであろう。 その光りは、夢の世界に漲っているそれに....
「秋の修善寺」より 著者:岡本綺堂
頂上と思われるあたりまで登りつくと、なるほど富士は西の空にはっきりと見えた。秋天
片雲無きの日にここへ来たのは没怪の幸であった。帰りは下り阪を面白半分に駈け降りる....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
、同日の比にあらざるなり。湾内の風景、また吟胸を洗うに足る。 四日、快晴。一天
片雲なく、天気清朗、極めて爽快を覚ゆ。わが十一月ごろの快晴に同じ。しかして気候は....