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片靨
「片靨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
片靨の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
。しかもこの己の恐怖は、己が誓言《せいごん》をした後《あと》で、袈裟が蒼白い顔に
片靨《かたえくぼ》をよせながら、目を伏せて笑ったのを見た時に、裏書きをされたでは....
「路上」より 著者:芥川竜之介
微笑を交換した。
十一
辰子《たつこ》は蒼白い頬《ほお》に
片靨《かたえくぼ》を寄せたまま、静に民雄《たみお》から初子《はつこ》へ眼を移して....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
どうして」 「あの人で。あの人で疲れます。そうでも無いですか」 糸子は丸い頬に
片靨《かたえくぼ》を見せたばかりである。返事はしなかった。 「面白かったですか」....
「行人」より 著者:夏目漱石
は「相変らずですわ」とただ一口答えただけであった。嫂はそれでも淋《さみ》しい頬に
片靨《かたえくぼ》を寄せて見せた。彼女は淋しい色沢《いろつや》の頬をもっていた。....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
あの怪しげな烏瓜を、坂の上の藪から提灯、逆上せるほどな日向に突出す、痩せた頬の
片靨は気味が悪い。 そこで、坂を下りるのかと思うと、違った。……老人は、すぐに....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
、白地の手拭を吉原かぶりで、色の浅黒い、すっきり鼻の隆いのが、朱羅宇の長煙草で、
片靨に煙草を吹かしながら田舎の媽々と、引解ものの価の掛引をしていたのを視たと言う....
「かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
て今日は黒出の着服にひとしお器量|優りのする小春があなたよくと末半分は消えて行く
片靨俊雄はぞッと可愛げ立ちてそれから二度三度と馴染めば馴染むほど小春がなつかしく....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
なの。」 此方《こなた》へ振向いたお雪の顔を見|上《あげ》ると、いつものように
片靨《かたえくぼ》を寄せているので、わたくしは何とも知れず安心したような心持にな....