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片鱗
「片鱗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
片鱗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人造人間殺害事件」より 著者:海野十三
から云っても自ら爆弾をいだいてこれに火を点《つ》けるようなものである。暗殺行為の
片鱗《へんりん》が知られても、僕はこの上海から一歩も外に出ないうちに、銃丸《じゅ....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
千十六種の説話を蒐集してあるという大作ですから、これから申し上げるのは、単にその
片鱗に過ぎないものと御承知ください」 老嫗の妖 清の乾隆二十年、都で小児....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
にも、純一ならぬ軽雑な何ものをもインフェクトせぬであろう。私は反語とか諷刺とかの
片鱗をもって論述を味わいつける、大家にも普通なレトリックさえけっして用いなかった....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
してお前は死ぬことはならぬ。さて私は死に臨んでお前の身上にかかっているある秘密の
片鱗を示そう。お前の実父は飯田の家中南条右近とはなっているが、しかし誠はそうでは....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
完全であり、純潔であり、愛であり、神聖でありそこに残忍、暴虐、その他人間的悪徳の
片鱗をも認むることはできない。神は罪悪がそれ自身の中に刑罰を含むことを知るが故に....
「華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
エキジヴィションのタンゴにかかった。五時半まで彼女は踊りつづけた。その間、阿難の
片鱗すらない。 「阿難、一体何を考えているの」 仁科六郎は遂にたずねた。疑惑や....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
を忘れていない。年代記的なもの、史伝的なものを書く場合でも、そういう観照力が時々
片鱗を示して、無味なるべき叙述に塩を与えてくれる。『阿部一族』における蜻蛉の描写....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
れた。 こうした幼な心におぼろに印象した断片も決して無駄ではない。その時の霊の
片鱗は童心の潜在意識にちゃんと印刻されているのだ。そして後年ある契機にふれるとよ....
「光は影を」より 著者:岸田国士
では、彼にはピンと来なかつたが、簡単な受けこたえに、もう知性といえばいえるものゝ
片鱗をのぞかせていた。 彼は、しかし、その場にいない妹のことを訊ねずにいられな....
「岩田夫人の死を悼む」より 著者:岸田国士
は毛頭考えられないが、彼も亦、その時は、普通の夫らしく、頭の一隅に、平凡な自責の
片鱗をのぞかせたとしても、それはまたそれで、すこしも不自然でない。 いかなる条....
「人間山中貞雄」より 著者:伊丹万作
にするとかいうところまではついに進展しないでしまつた。 だから私は彼の私生活の
片鱗をも知らない。また長鯨の百川を吸うがごとき彼の飲みつぷりにも接したことがない....
「ヒトラーの健全性」より 著者:国枝史郎
界戦争中に起こった、極わめて革命的の流派で、其処には絵画としての伝統は、ほとんど
片鱗さえ見ることが出来ず、破壊的、急進的、非写実的、畸体の「形」と「色」とが存在....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
間から連峰の一部をちらちら見た。峠の上では急いでスケッチもした。女阪峠を上る時も
片鱗はいく度も見たが、全形を眺むることは出来なかった。 精進を過ぎ本栖を発足っ....
「机前に空しく過ぐ」より 著者:小川未明
は、年をとってから完成するものだとはいうものゝ、すでに、其の少時に於て、犯し難き
片鱗の閃きを見せているものです。若くして死んだ、詩人や、革命家は、その年としては....
「新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
がその最後でなくて得られぬ倫理的満足を、現在において何等かの他の方法によってその
片鱗なり、真髄なりを見んとする欲望だといっている。で自然、人類が合理的生活へ向っ....