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牝鹿
「牝鹿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
牝鹿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あいびき」より 著者:ツルゲーネフイワン
と思うと、少女はあわてて頭を擡《もた》げて、振り反ってみて、その大方の涼しい眼、
牝鹿のもののようにおどおどしたのをば、薄暗い木蔭でひからせた。クワッと見ひらいた....
「或る女」より 著者:有島武郎
の迷路をたどりぬいた末に、不思議な仮睡状態に陥る前まで進んで来た。葉子はソファを
牝鹿《めじか》のように立ち上がって、過去と未来とを断ち切った現在|刹那《せつな》....
「或る女」より 著者:有島武郎
早くなおってください。それじゃ僕はこれできょうは御免をこうむります。さようなら」
牝鹿《めじか》のように敏感な岡さえがいっこう注意しない葉子の健康状態を、鈍重らし....
「俊寛」より 著者:菊池寛
る目的ではなかった。 幾日も幾日も、そうした情景が続いた後、少女はとうとうその
牝鹿のようにしなやかな身体を、俊寛の強い双腕に委してしまった。 俊寛は、もう孤....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
法水はとたんに爆笑を上げたが、静かな洗煉された調子で云った。
「いや、|打たれし
牝鹿は泣きて行け、|無情の牡鹿は戯るる――の方でしょうよ。しかし、先刻貴方は、僕....
「新しい船出」より 著者:宮本百合子
ままに見て、これはマア紫陽花に数少い色合であることよ、という風に鑑賞されている。
牝鹿がある時どんなに優しく、ある時どんなに猛くてもやはりそれなり
牝鹿らしいと見る....
「唖娘スバー」より 著者:タゴールラビンドラナート
お呉れ!」 直ぐ又、彼は魚に気を取られて仕舞いましたが、スバーは、傷つけられた
牝鹿が、苦しみの中で、 「私が、貴方に何をしたでしょう?」 と訊きながら狩人の顔....
「夢占」より 著者:楠山正雄
一 むかし、摂津国の刀我野という所に、一|匹の牡鹿が住んでいました。この牡鹿には二|匹仲のいい
牝鹿があって、一|匹の
牝鹿は摂津国の夢野に住んでいました。もう一|匹の
牝鹿は、海....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
たきりで、樹皮の中にはいったダフネのように、全半身副木に固められていた。傷ついた
牝鹿《めじか》のような眼をし、日影の植物のような褪《あ》せた色をしていた。大きす....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
」 流暢な土人語でこう呼ぶと、 「ジョンよジョンよ、足が速いのう、二歳になった
牝鹿のようだ」 こう云い云い出て来たのは、酋長オンコッコを裏切ってまでジョンの....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
気を耐えるように、両腕を首の下で締めつけると、ずるりと落ち、荒布の下から、それは
牝鹿のような肩が現われた。乳房は石のように固くなっていて、高まり切った乳首、えく....
「アイヌ神謡集」より 著者:作者不詳
ると,山の木原から 胡桃の風,つむじ風が吹いて来て 山の木原から,牡鹿の群は別に
牝鹿の群はまた別に,風に吹き上げられ ずーっと天空へきれいにならんで上って行く.....
「精」より 著者:マクラウドフィオナ
剣は跳び、馬は躍るべし、われその甘き口の人に到るために 彼女《かれ》は山の上の
牝鹿のごとき大なる目を持つ、彼女《かれ》はあたたかく優し ああ、甘き口のひとよ、....
「約束」より 著者:マクラウドフィオナ
に触れて一つになることがあるという事を見出した。 ケリルは羊歯《しだ》のなかで
牝鹿の足跡らしいのを見つけて身を屈めてそれを見ようとしたが、その時、猟犬はいきな....
「漁師」より 著者:マクラウドフィオナ
塩のこいしさに舌をあえがし、鰭《ひれ》をふるわし、時が来て海が呼んでるのを悟る、
牝鹿はまだ仔鹿が体内に身うごきしない前から知っている、その時やさしい露ふかい眼は....