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牡丹雪
「牡丹雪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
牡丹雪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ロマネスク」より 著者:太宰治
め、三島に珍らしい大雪が降った。日の暮れかたからちらちらしはじめ間もなくおおきい
牡丹雪《ぼたんゆき》にかわり三寸くらい積ったころ、宿場の六個の半鐘《はんしょう》....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
りと夜の引きあけごろから降りだしたと思ったあいだに、たちまち八百八町は二寸厚みの
牡丹雪《ぼたんゆき》にぬりこめられて、見渡すかぎりただひと色の銀世界でした。風が....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
引っ張って、弥生座を出た。 六 弥生座を出ると、雪だった。しとしとと落ちて来る
牡丹雪を、眩い光が冷たく照らしていた。夜の底が重く落ちて白い風が走っていた。 「....
「わが町」より 著者:織田作之助
路地を出て行くと、足は市電の停留所へ向いた。 電車が大正橋を過ぎる頃、しとしと
牡丹雪になった。 境川で乗り換えて、市岡四丁目で降りた。そこから三丁の道はもう....
「斜陽」より 著者:太宰治
「お母さま、障子をあけましょうか。雪が降っているのよ」 花びらのような大きい
牡丹雪が、ふわりふわり降りはじめていたのだ。私は、障子をあけ、お母さまと並んで坐....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
。でもさすがに正月だ。門松しめ飾り、松の内の八百屋町をぱったり人通りが杜絶えて、
牡丹雪が音も立てずに降っている。 昨日丸山さんが手紙をよこした。つつましい筆使....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
の時橇は山と谿との狭い岨道を走っている。 いつの間にか空が曇り、一旦止んでいた
牡丹雪が風に連れて降って来た。見る見る月影は薄れて行きやがて全く消えてしまった。....
「雪の宿り」より 著者:神西清
文明元年の二月なかばである。朝がたからちらつきだした粉雪は、いつの間にか水気の多い
牡丹雪に変って、午をまわる頃には奈良の町を、ふかぶかとうずめつくした。興福寺の七....
「雪の夜」より 著者:織田作之助
大晦日に雪が降った。朝から降り出して、大阪から船の著く頃にはしとしと
牡丹雪だった。夜になってもやまなかった。 毎年多くて二度、それも寒にはいってか....
「妻の名」より 著者:織田作之助
朝から粉雪が舞いはじめて、ひる過ぎからシトシトと
牡丹雪だった。夕方礼吉は雪をふんで見合に出掛けた。雪の印象があまり強すぎたせいか....
「澪標」より 著者:外村繁
り、荷馬車は緩くり登って行く。その年も暖冬で、地上に雪はなかったが、時時、大きな
牡丹雪が、一頻《ひとしき》り降り続く。やがて前方に、意外にも広大なスロープを持っ....
「妻」より 著者:神西清
。 朝の十時に私は停車場へ向った。凍てついてはいなかったが、空からは水気の多い
牡丹雪が降りしきって、気持の悪い湿っぽい風が吹いていた。 池を過ぎ、やがて白樺....
「雪」より 著者:中谷宇吉郎
し》数百の結晶が一つの塊即ち雪片になって来るのである。これが即ちわれわれによって
牡丹雪《ぼたんゆき》あるいは綿雪と呼ばれているものである。
牡丹雪あるいは綿雪....
「粉雪」より 著者:中谷宇吉郎
が、その種の言葉の良い例が「粉雪」である。 北海道では、冬の初めと終わり頃には
牡丹雪も降るが、真冬の間は殆ど粉雪ばかりであるというような事がよくいわれる。この....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
から無数の柳絮が真白な綿をちぎって飛ばすように、ふわりふわりと飛んで行く、まるで
牡丹雪が降っているようだ。それがまた一しおの風情を添えた。 これから東沢の合流....