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牢固
「牢固〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
牢固の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「デンマルク国の話」より 著者:内村鑑三
精神ありて国は戦争に負けても衰えません。否《いな》、その正反対が事実であります。
牢固《ろうこ》たる精神ありて戦敗はかえって善き刺激となりて不幸の民を興します。デ....
「花火」より 著者:太宰治
感激を味ったのか、はっきりしないが、とにかく、チベットへ行くのだという希望だけは
牢固《ろうこ》として抜くべからざるものがあった。両者の意嚮《いこう》の間には、あ....
「秋日記」より 著者:原民喜
海も茫《ぼう》として色彩を失っていた。だが、高台の上に立つ、大きな病院の建物は、
牢固《ろうこ》な壁や整った窓が下界の雨をすっかり遮《さえぎ》っていた。 「あなた....
「厨房日記」より 著者:横光利一
喙を入れない純然たる態度を守って世を睥睨していた。誰が見ても、まさに共産党以上の
牢固さと単純さとがここにあった。しかし、これさえ国家は保護している。義理人情とい....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
《き》まりきったような時もある、悪く小利口な代もある、情慾崇拝の代もある、信仰|
牢固《ろうこ》の代もある、だらけきったケチな時代もある、人々の心が鋭く強くなって....
「作家に語りかける言葉」より 著者:宮本百合子
いる。「いつも文学を文壇の習慣と結びつけなければ棲息出来ぬ因循さが、自然主義以来
牢固として脱けず、テーマがあってもモチーフがなければ仕事は出来ぬという完成にまで....
「中支生活者」より 著者:豊島与志雄
転機たらしめ、新支那中央政府に愛国運動たるの面子を保たしめ、かくして東亜新秩序を
牢固と確立するためには、あらゆる方面に於て、一応支那民衆の側に立って物を考えてみ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
るかの観があった。 それでも、それはもっともフランス的なものだった。数世紀来|
牢固《ろうこ》たる特性を保有してるフランス民族だった。オリヴィエの眼を通してクリ....
「母の上京」より 著者:坂口安吾
ことがないものだ。ふりむくことが有るとすればたゞ嫉妬からで、自分は本来女であると
牢固として思ひこんでゐるやうである。彼は歌舞伎の女形と云はずに、女優と云つた。え....
「自転車嬢の危難」より 著者:ドイルアーサー・コナン
もらえば、大に助かるんだがね。そしてワトソン君、――あとはもうこの問題の解決の、
牢固たる足がかりを得るまでは、何にも云わないことにするよ」 私たちは、あの娘さ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
うと出丸に当たった。これも低い平屋づくりで、本邸と比べては粗末であったが、しかし
牢固という点では、むしろ本邸に勝っていた。四つとも同じような建て方で、その特色と....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
ケではないようにも思うのである。 だが、秋田犬という図抜けて大きなこの種族も、
牢固たる日本犬の習性の一ツはどうすることもできないらしい。 その習性とは何ぞや....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
となったのは名誉この上もなく、死すとも瞑すべきであるとなすような考えも、これまた
牢固たる先生の本音であり、しかも、それすらも愛情のアカシであり、ノロケのタネであ....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
。しわぶきひとつするものもない、みなは悲しみに心をつつまれているのだ。 四人は
牢固たる決意にもかかわらず、一同の悄然とした顔を見ると、さすがに、心のうちしおる....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
が、柳営の大奥とも、いつのまにか、肉欲の地下道をつくり、奉行所の力でも、今では、
牢固として、触れ難いものにすらなっていた。 ――手をつければ、自己があぶない。....