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牧歌
「牧歌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
牧歌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
の部屋に眼を覚《さ》ました。巴里《パリ》のような大きな都会の空気の中にもそうした
牧歌的なメロディの流れているかと思われるような笛の音《ね》がまだ朝の中の硝子窓に....
「振動魔」より 著者:海野十三
ますよ。たいへん奇妙な調子の音ですが、よく耳を澄ましてきいていると、なにかこう、
牧歌的な素朴な音色があるのです」 柿丘秋郎は、捉えた鼠を嬲ってよろこぶ猫のよう....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ると、この事件には一人の人間もいなくなってしまったのだよ。僕にはどうしても、この
牧歌的風景の意味が判らないのだ。だいたいその虹――と云うのは、いったいどういう現....
「読書法」より 著者:戸坂潤
白く読める中篇である。渡辺氏「山晴れ」は農村青年と売られて行く農村の娘との悲劇を
牧歌的に抒した小篇、栗林氏「新学期」は農村学童が先生から貰った学用品を、泥棒した....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
った。 眼を半眼、開いたまゝ鉛の板のように重苦しく眠り込んでいた新吉は伊太利の
牧歌の声で目覚めた。朝の食事が出来たので、通い女中ロウジイヌが蓄音器をかけて行っ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
めた河をながめた。そして夢想のうちに惘然《ぼうぜん》と沈んでゆくと、哀調を帯びた
牧歌の曲が漂ってきた。 時々彼女は、眼を少し開いて、ぼんやり彼の方をながめ、幾....
「死因の疑問」より 著者:豊島与志雄
てくれたそうです。二人の仲がどれほどのものだったかは分りませんが、まあ、初々しい
牧歌的なものだったのでしょう。ところが、その学生が、東北地方の山に雪中登山をして....
「安吾武者修業」より 著者:坂口安吾
よってまもられ伝えられてきた剣法。日本の講談の中で異彩を放っているばかりでなく、
牧歌的な詩趣あふれ、殺伐な豪傑の中でユーモラスな存在ですらある。 私は馬庭とい....
「学生と先哲」より 著者:倉田百三
。(池上兄弟への消息)」 その生涯のきわめて戯曲的であった日蓮は、その死もまた
牧歌的な詩韻を帯びたものであった。 弘安五年九月、秋風立ち初むるころ、日蓮は波....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
、兄弟姉妹は善良な人々だ。私は君の田舎の家に一度君にまねかれて行ったことがある。
牧歌的な周囲の光景をよく覚えている。家をとり巻く樹立。後ろの小高い丘。牧草の香の....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
捕われた穴ボコの中にたち、海を見下して、感無量でしたよ。それは悲劇的ではなくて、
牧歌的――いわば、彼だけは切支丹史上に異例な、切支丹西部劇というようなスガスガし....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
は、軽い頭痛を覚えていた。――汽車の窓から見たり、色々な小説を読んだりして、何か
牧歌的な、うっとりするような甘い、美しさで想像していたチョコレート色の藁屋根の百....
「「にんじん」とルナアルについて」より 著者:岸田国士
けにいかぬ悲劇的境遇が、この作品において、一種素朴な家族風景となり、時には清澄な
牧歌の趣を呈するわけは、作者ルナアルの感傷がまったく影をとどめず、むしろその高度....
「詩の精神は移動す」より 著者:小川未明
時代の生活は、それを肯定として、趣味の上に求めるより外になかったからである。所謂
牧歌的のものはそれでいい。それらには野趣があるし、又粗野な、時代に煩わされない本....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
偉らいかわからないと思うね。よくは知らないけれども。民謡にしたところで、「外国の
牧歌が素朴で快活だ、日本のは消極的でお座敷趣味だ。淫蕩だ。享楽的で無智だ。」なぞ....