物ともせず[語句情報] » 物ともせず

「物ともせず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

物ともせずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ェル氏は、ニューヨーク暗黒街にとれば仇敵のような人物。清廉、誘惑をしりぞけ圧迫を物ともせず、ギャング掃蕩のためには身命さえも賭そうという、次期州知事の候補者の一....
姉川合戦」より 著者:菊池寛
ゆし」とて取って返す。式部|手鑓にて真柄が草摺のはずれ、一鑓にて突きたれど、真柄物ともせず、大太刀をもって払い斬りに斬りたれば、匂坂が甲の吹返しを打ち砕き、余る....
大阪発見」より 著者:織田作之助
美味いのである。私は味が落ちていないのを喜びながら、この暑さにフーフーうだるのを物ともせず三杯もお代りした。狭い店の中には腰掛から半分尻をはみ出させた人や、立ち....
肝臓先生」より 著者:坂口安吾
さしても目的の注射をうたざれば倒れず ついに孤島に肝臓を病む父ありて空襲警報を物ともせずヒタ漕ぎに漕ぎいそぐ 海上はるか彼方なり 敵機降り来ってバクゲキす....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
ッサイ、また乾杯、勢ひの赴くところ、次にはヨッちやんをハダカにする、こつちの方は物ともせずタンカをきつて卓の上に大あぐらをかいたり大の字に寝てしまつたり、お客が....
巷談師」より 著者:坂口安吾
には、方々へ問い合して、住所をさがさなければならない。ところが彼らは、その苦労を物ともせず、私に手紙をくれるのである。 私の必勝法と彼らのそれとは距りがあり(....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
まった。 このロッテナム夫人の売りつけた香水が「黒衣の母の涙」。はじめは高価を物ともせず、西欧かぶれの淑女貴婦人が争って買いたがったものだ。なにがし公爵夫人が....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
。熊足かな」 仁助の目がギラリと光ったとは知る由もないメクラの弁内、馬の鼻息を物ともせずに語りつづける。修練とは云いながら、鼻と口とを同時に器用に使い分けるも....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
秩父との郡界のところに在るのですから、郡内では一番遠い距離に当るのですが、それを物ともせずに出かけたのだから、大そうタノシミにしておられたのです。朝でて夕方には....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
な必要に応じて生れた看護婦第一号以前に属する前世紀動物であった。 高額の給金を物ともせずに成子を雇っただけの値打はあった。彼女の受持は夜間である。なぜなら、全....
アイヌ神謡集」より 著者:作者不詳
だちであったでしょう. 冬の陸には林野をおおう深雪を蹴って,天地を凍らす寒気を物ともせず山又山をふみ越えて熊を狩り,夏の海には涼風泳ぐみどりの波,白い鴎の歌を....
太陽系統の滅亡」より 著者:木村小舟
るぞ、生命が惜しくば早く下れ下れ!」 彼らは全く狂気の沙汰である。されどこれを物ともせず、大勇猛心を起して彼はいった。 「叱々! 静聴し給え諸君、万一僕の企て....
狂女と犬」より 著者:小酒井不木
、聊か閉口して、せめて小さな水車小屋でもよいから見つけたいものだと、空腹と疲労を物ともせず、暗闇の中を可なりに高い山を登ってその頂に達すると、遥かむこうに、人家....
茶の本」より 著者:岡倉由三郎
思って、洋々塾の村岡博氏が、原文の一字一句をもゆるがせにすることなく多大の労苦を物ともせずに、章一章こくめいに日本語に写して塾の雑誌『亡羊』に、昭和の二年(一九....
枯尾花」より 著者:関根黙庵
楽郡木津辺の或る寺に某と云う納所があった、身分柄を思わぬ殺生好で、師の坊の誡めを物ともせず、例も大雨の後には寺の裏手の小溝へ出掛け、待網を掛けて雑魚を捕り窃かに....