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「物の声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

物の声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十二支考」より 著者:南方熊楠
ま名としたというんだ。これはしかるべき説で凡《すべ》てどこでもオノマトープとて動物の声をその物の名としたのがすこぶる多い。往年『学芸志林』で浜田健次郎君がわが国....
三四郎」より 著者:夏目漱石
。そのうち幕になった。 幕になる少しまえに、隣の男が、そのまた隣の男に、登場人物の声が、六畳敷で、親子差向かいの談話のようだ。まるで訓練がないと非難していた。....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
覆面を取ってみましょう」 闇の中から男の声がした。それは懐中電灯を持っている人物の声だろう。 光芒の中に、一本の腕がヌッと出てきた。それは屍体の覆面の方に伸....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
は致しませんでしょうか」 がんりきの周囲《まわり》で、あちらにもこちらにも紛失物の声がありましたので、四辺《あたり》がにわかに物騒《ぶっそう》になります。 ....
火星兵団」より 著者:海野十三
の胴にしがみついて、はなれない。 「こら、放せ。放さんと、いのちがないぞ」 怪物の声が、先生のあたまの上から、きみわるくひびく。しかし先生は、千二少年を助けた....
不動像の行方」より 著者:田中貢太郎
燃え拡がって山の畝りをはっきりと映しだした。 「甚六、早く往かんか、甚六」 監物の声はうわずって聞えた。 不動尊の木像はその夜のうちに戸波の積善寺に返して、....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
に引き出すような言葉は、喜怒哀楽とか飢渇とかの本能だけしか現わすことの出来ない動物の声のようであった。無論、こうした言葉は誰でも一生のうちに口にする事もあろうが....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
であり、いろんな夢を思い起させたりしたが、夜中にふと目をさますと、それは恐しい魔物の声のように思えた。そんな時、私はしくしくと泣き出して、乳母の乳房に耳を押しつ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
そのかすかなおののき、時間や季節や晴れ日や曇り日の無数の気味合《ニュアンス》、事物の声や沈黙、などを一々感じ取ってるという、漠然としたしかも強い感覚なのである。....
柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
ッと砂糖を投げ込んだ。と盃洗の水面から、一団の火焔が燃え立った。 ドッと囃す見物の声、小銭がパラパラと投げられた。 盃洗の水をザンブリと覆け、鬼小僧はひどく....
昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
器《スピーカー》で、しゃべっているのだろう。闇の空にひびく博士の声は、なんだか化物の声のように気味がわるい。博士はこの上、まだどんなすごい武器をかくしているか、....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
ばなつかしや、千鳥|鴎の沖つ波、行くか帰るか、春風の―― そのあたりからは、見物の声が章句も聞こえて、中には目金の上へ謡本を突上げるのがあり、身動きして膝を敲....
二階から」より 著者:岡本綺堂
回に蛙の話を書いた折に、ふと満洲の蛙を思い出した。十余年前、満洲の戦地で聴いた動物の声で、私の耳の底に最も鮮かに残っているのは、蛙と騾馬との声であった。 蓋平....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
力強い決心を働かせているなあ。 もう世界が薄明の中に開かれている。 森は千万の生物の声にとよみわたっている。 谷を出たり谷に入ったり、霧の帯が靡いている。 それ....
仏法僧鳥」より 著者:斎藤茂吉
しているところなどは、或は人工的のもののような気もするが、よくよく聴くと、何か生物の声帯の処をしぼるような肉声を交えている。私は折角運|好くて聴いた仏法僧鳥であ....