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物の怪
「物の怪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物の怪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
。と、光のない真黄色な灯がきゅうに大きくなって、ホヤの内部を真黒にくすべながら、
物の怪《け》のように燃え立った。
もうだめだ。清逸は思いきって芯を下げてからホ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
り、岩に躍り、渚に飜って、沖を高く中空に動けるは、我ここに天地の間に充満たり、何
物の怪しき影ぞ、円なる太陽の光を蔽うやとて、大紅玉の悩める面を、拭い洗わんと、苛....
「海底大陸」より 著者:海野十三
っておどろいたか諸君。そんなことで生物学者といばっていられるか。アトランティス生
物の怪を知らずして、どうして海底超人が論じられようぞ」 ドリー助教授は、この上....
「地球盗難」より 著者:海野十三
っているらしく、腹のところをブルブルと震わせていた。武夫の耳にはジージーという怪
物の怪しい呻り声が聞えてきた。 「武夫さん、武夫さん。あんた、どうしたの。何か云....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
高いいななきの声がきこえたかと思うと、これまでモデルに使われていた白鹿毛が何かの
物の怪でも付いたように狂い立って、手綱を振切って門の外へ飛び出したのです。 人....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
ったか知る由もなく、また知ろうともせず、その夜の内に飛行の術で、飛ぶわ、飛ぶわ、
物の怪につかれたように飛んで、丑満の頃には、京の都の東山の上空まで来たが、折柄南....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
あった。 大音響は近づいて来た。 と、闇の中にシラジラと、砕ける波の穂頭が、
物の怪のように見えて来た。大穴の周囲に岩があって、それへ水がぶつかるらしい。 ....
「怪塔王」より 著者:海野十三
すと、また天井から大きな声で、 「あっはっはっはっ。どうだ。やっとわかったか。贋
物の怪塔王の仮面がやっとはげたんだ。そのような怪塔王でよかったら、あと幾人でも見....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
ち尻尾を出してしまうことであろうと、大変|頼もしく感ぜられるのでした。 怪
物の怪力 「では出動用意」警部は手をあげました。「第一隊は表玄関より、第二隊は裏....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ほどの子供っぽさ、いたずらに神話の中を経めぐったり、あるいは形相凄まじい、迷信の
物の怪に怯えたりなどして、検事はしだいに夢を換え、幻から幻に移り変って行くのだっ....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
た。土間の中は陰森として薄暗い。蝋燭の火が揺らめいて、土間の上の男女の二つの影を
物の怪のように顫わしている。気象の勝った男勝りのお粂が何ゆえにそのように弱々しそ....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
1 でも、そりゃ、病気には代えられませんわ。 男3 とにかく、それは死んだ行平の
物の怪ですよ。確かにそうです。……全く執拗いったらありゃしない……(左へ退場) ....
「ばけものばなし」より 著者:岸田劉生
時、感ずる対象はどうしても、一種の「怪」である。 もののけとは、物の気、または
物の怪であろう。ともかくも幽霊よりはもっと客観性に富んだ存在である。 私は一つ....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
だった。 しかし、こういうことも夜だけの恐怖にすぎず、心の迷いで暗闇に横行する
物の怪にすぎなかった。そして、今までに彼は幽霊をたくさん見たことがあるし、ひとり....
「憑き物系統に関する民族的研究」より 著者:喜田貞吉
少くなり、またこれらのものがそう無暗に人間を誑かすという様な思想が減じて来ては、
物の怪の災いは多くは噂ばかりであって、実際にはそうたびたびあるものではなくなって....