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「物乞い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

物乞いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
早く! お早く!」 不埓《ふらち》にも町人は飽くまでも退屈男を、ゆすりかたりの物乞い浪人とでも見下げているのか、小判を足元に投げすてながら、四人の取り巻侍を促....
「紋」」より 著者:黒島伝治
げつけた。不意に飛んできた礫に驚いて猫は三四間走ってから、下男を振り返って見て、物乞いするようにないた。 「おどれが!」再び下男は礫を投げつけた。 「この頃は、....
分配」より 著者:島崎藤村
自分の部屋の押入れから古本を取り出して来て持たせてやることもある。中にはそういう物乞いに慣れ、逆に社会の不合理を訴え、やる瀬のない憤りを残して置いて行くような人....
新版 放浪記」より 著者:林芙美子
きした。 飯も食えないのに一人前の事を云うなッと怒った。飯が食えないと云って、物乞いのような気持ちには私はなれないのだ。 火を燃やしながら、私は今度こそ別れ....
赤い貨車」より 著者:宮本百合子
「お前さんはどう?」 ナースチャはわからなかった。彼女はツィガンカに一ぺんも物乞いをされたことがなかった。そのくらい、見すぼらしい村の娘なのであった。 雨....
楢重雑筆」より 著者:小出楢重
さんが一人立っていました。イタリアだけあって、その辺にはもうギターを持った老人の物乞いが何か歌っているのでした。(「みづゑ」大正十二年一月) 会場へ搬入された....
静かな日曜」より 著者:宮本百合子
日は」と呼ぶ声がした。丁度使に出ていたので、立ちかけたが、どうも声が変な調子で、物乞いらしく感じられる。立ったまま躊躇していると、エーが、彼の部屋から、 「お入....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
戦争の癈兵らしい老人がふたり、ひとりは手風琴を、他はヴァイオリンを鳴らして路傍に物乞いしている。跛足と盲らだ。「無眼之人」と大きく書いたボウル紙を首から下げてい....
小公女」より 著者:菊池寛
る? 我々の夢が実現されて、ふいに幸運が舞いこんで来たというのに、あの娘は往来で物乞いをしているかもしれないのだ。」 「いや、そう昂奮なさらないで。あの子が見付....
男ぎらい」より 著者:豊島与志雄
き、どんな物が好きかなどと尋ねたりして、ウイスキーをいつもよりよけい飲みました。物乞いじゃあるまいし、貰ってやるものか、と私は思い、なにか仕返しをしてやろうかと....
波多野邸」より 著者:豊島与志雄
いったいどうしているのか。地所を売った封鎖の金を内密に現金に代えたり、野崎さんに物乞いをしたり、謂わば寄生虫みたいな生活ではないか。千枝子が月給を求めたのは、労....
怪しの者」より 著者:国枝史郎
お方の台所口で。 燈ともしころのことでありまして、わたしはその日、そのお宅へ、物乞いに参ったのでございます。それまでにも再々参ったことがありまして、そのお宅は....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
食べるものにさえ事欠いている。どうしてこれから食べて行こう? 妾が町へ出て行って物乞いしなければならないかしら? でも妾は恥かしい。妾にはそんな事出来はしない。....
南国太平記」より 著者:直木三十五
何んの抵抗力もなく――それは、老いた乞食が、野垂死をするように――その光った眼は物乞いの憐愍《れんびん》さのような微笑さえして――その死体は、白痴のように、口を....
ねむい」より 著者:神西清
のだ。 「お慈悲でございます、キリストのため!」と、通りすがりの人びとに、母親が物乞いする。――「恵んでやってくださいまし、お情けぶかい旦那がた!」 「その子を....