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物凄い
「物凄い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物凄いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
たどうして住まれよう――お札もかかる家に在っては、軒を伝って狗の通るように見えて
物凄い。 フト立留まって、この茅家を覗めた夫人が、何と思ったか、主税と入違いに....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
。 早や廊下にも烟が入って、暗い中から火の空を透かすと、学校の蒼い門が、真紫に
物凄い。 この日の大火は、物見の松と差向う、市の高台の野にあった、本願寺末寺の....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
に続けながら、悪い夢にでもうなされた様な重い心になって居るかと思うと、突然暗黒な
物凄い空間の中に眼が覚める。周囲からは鼓膜でも破り相な勢で鉄と鉄とが相打つ音が逼....
「転機」より 著者:伊藤野枝
た一つの恵みである日の光さえ、今は失われてしまった。明日が来るまではここはさらに
物凄い夜が来るのだ。黄昏れてくるにつけて、黙って歩いているうち、心の底から冷たく....
「女客」より 著者:泉鏡花
「心細いのが通り越して、気が変になっていたんです。 じゃ、そんな、気味の悪い、
物凄い、死神のさそうような、厭な濠端を、何の、お民さん。通らずともの事だけれど、....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
夜になると、何となく灯がさして、三味線太鼓の音がする。時々どっと山颪に誘われて、
物凄いような多人数の笑声がするね。 何ッて、母親の懐で寝ながら聞くと、これは笑....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
つて見たこともないほどに恐怖の沈滞しているような冷やかな眼をしたラザルスの姿が、
物凄い光りのなかに朦朧として浮き上がって来た。かれらは化石したようになって、たが....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
柏屋でございます。」 と急いで出て行く。 これからお雪、良助、寝物語という、
物凄い事に相成りまする。 七 「これは旦那様。」 入交って亭主柏....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
だ。晴れた空も梢のあたりは尋常ならず、木精の気勢暗々として中空を籠めて、星の色も
物凄い。 「おや、おや、おかしいねえ、変だよ、奇体なことがあるものだよ。露か知ら....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
ぶあぶ遣ってた。」 「この水が、路端の芋大根の畑を隔てた、線路の下を抜ける処は、
物凄い渦を巻いて、下田圃へ落ちかかる……線路の上には、ばらばらと人立がして、明い....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
二人にならどうともされろ!で、浅茅生へドンと下りた、勿論|跣足で。 峰も谷も、
物凄い真夜中ですから、傍目も触らないで土間へ辷り込む。 ずッと遥な、門へ近い処....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
が、内容からいえば、それは現世ではとても思いもよらぬような、不思議な、そして
物凄い光景なのでございました。 『雨雲の中をよく見るがよい。眼を離してはならぬ。....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
田町へ崩るるのも、あたかもこの土の色の変った機に乗じて、空を行く外道変化の囁かと
物凄い。 十二時|疾くに過ぎて、一時前後、雪も風も最も烈しい頃であった。 吹....
「死体室」より 著者:岩村透
しまった。その時に、弟が小使に向って、「斯様な室に、一人で夜遅く寝ていたら、さぞ
物凄い事もあるだろう」と訊ねると、彼は「今では、最早馴れましたが、此処へ来た当座....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
横に永い雲がたなびいている。 まったく雨飾山は、ポカリと浮いたような山である。
物凄いところもなければ、偉大なところもない。怪奇なところなぞはいささかもない。た....