物売り[語句情報] » 物売り

「物売り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

物売りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
よいよ悪意のある運命の微笑《びしょう》を感じながら、待合室の外に足を止《と》めた物売りの前へ歩み寄った。緑いろの鳥打帽《とりうちぼう》をかぶった、薄い痘痕《あば....
」より 著者:芥川竜之介
影が、心もち長くなった。その長い影をひきながら、頭《かしら》に桶《おけ》をのせた物売りの女が二人、簾の目を横に、通りすぎる。一人は手に宿への土産《みやげ》らしい....
ある心の風景」より 著者:梶井基次郎
。荒神橋には自転車が通り、パラソルや馬力《ばりき》が動いていた。日蔭は磧に伸び、物売りのラッパが鳴っていた。 五 喬《たかし》は夜更けまで街をほっつ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
無理に茶碗で一杯飲まされたもんですから」 彼は武家屋敷の中間部屋へ出入りをする物売りの女であった。かれの提げている重箱の中には鮓《すし》や駄菓子のたぐいを入れ....
三人の双生児」より 著者:海野十三
特色のあることを御存知の筈と存じますわ。お小さいとき、よくお気のつくものとしては物売りの声、お祭りなどの行事、その辺のごく狭い地区の名、幼な馴染の名などでござい....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
っしり詰っている。出どころの判らない匂いと笑いと唄とを引き切るように掻き分けて、物売りと、分別顔のギャルソンが皿を運んだり斡旋したりしている。 「しまった、お母....
梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
ろから、紙で巻くようにしていわゆる巻骨ということも、その男が工夫した事だという。物売りではないが、紅勘というのはかなり有名なものだった。浅黄の石持で柿色の袖なし....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
の神秘的な女性にたましいを奪われてしまって、私のそばへ押し売りに来たイタリー人の物売りの声などは耳に入らないほどに興奮していた。そのイタリー人はとうとう私の腕を....
白雪姫」より 著者:菊池寛
ったのかをききますと、姫はきょうあった、いっさいのことを話しました。 「その小間物売りの女こそ、鬼のような女王にちがいない。よく気をつけなさいよ。わたしたちがそ....
」より 著者:織田作之助
西に数十軒、乗合の三十石船が朝昼晩の三度伏見の京橋を出るころは、番頭女中のほかに物売りの声が喧しかった。あんさん、お下りさんやおへんか。お下りさんはこちらどっせ....
砂書きの老人」より 著者:上村松園
砂書きの老人 上村松園 まだ私が八、九歳のころ京都の町々にいろいろな物売りや、もの乞いがやって来ていたが、その中に五十歳ぐらいのきたならしい爺さんが....
開運の鼓」より 著者:国枝史郎
走らせていた。燈火の点き初めた夕暮れ時で往来には人々が出盛っていた。人声、足音、物売りの叫び。やかましいほど賑やかであった。その時、騒然たる物の音を縫って鼓の音....
放浪」より 著者:織田作之助
服物を一反風呂敷にいれ、南海電車に乗り、岸和田で降りて二里の道あるいて六貫村へ着物売りに来ると、きまって現糞わるく雨が降って、雨男である。三年前にも来て雨を降ら....
月夜とめがね」より 著者:小川未明
しずまっていました。ときどき町の人通りのたくさんな、にぎやかな巷の方から、なにか物売りの声や、また、汽車の行く音のような、かすかなとどろきがきこえてくるばかりで....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
一行は、再びシンガポールに一泊することになりました。 こんどこそはと決心して、物売りに化け、彼の船室に入り込んだのです。 港へ船が着くと、よく土人や支那人が....