物干し[語句情報] »
物干し
「物干し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物干しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
側板に丸い斑紋《はんもん》をいくつとなく散らかして。
ふと見ると向こうの屋根の
物干し台に浴衣《ゆかた》の類を持って干しに上がって来たらしい女中風の女が、じっと....
「交尾」より 著者:梶井基次郎
。 人びとは寐《ね》静まっている。――私の立っているのは、半ば朽ちかけた、家の
物干し場だ。ここからは家の裏横手の露路を見通すことが出来る。近所は、港に舫《もや....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ゃ、遠くへ逐電しちまうじゃござんせんか!」 「あわてなくともいいんだよ。あそこの
物干しざおにぶらさがっているしろものをよくみろ。源氏のみ旗が、しずくをたらしてい....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
た庭にはけいこ弓の矢場がずっと奥までつづいて、そのこちらに車井戸、井戸にとなって
物干し場、――ひょいと目を向けると、小春日のあたたかい日ざしを浴びてひらひらと舞....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
だ。 「火事はどこでございましょう。」 という亭主と一緒に、半蔵はその二階から
物干し場に登った。家々の屋根がそこから見渡される。付近に火の見のある家は、高い屋....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
仕事場を監督する場所である。正香は仕事場の方を縫助にさして見せた。入り口から裏の
物干し場へ通りぬけられるような土間をへだててその仕事場がある。そこはなかなか広い....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
きりにそれを選り分けている。反物を入れる大きな戸棚も見える。 前の広庭には高い
物干し竿が幾列びにも順序よく並んでいて、朝から紺糸がずらりとそこに干しつらねられ....
「映画雑感(Ⅳ)」より 著者:寺田寅彦
間を飛翔してどことも知らぬ街路の上に浮かび出るのである。 せんたく屋の場面では
物干し場の綱につるしたせんたく物のシャツやパジャマが女を相手に踊るという趣向があ....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
ばある。私は殊に貧血性だから。 本当に私に適当な月は、八月の盆の頃の月である。
物干しへ出て寝ころびながら、月面の穴に見惚れ、そのうち自分がその穴へ這入って見た....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
あとについて出た。 通りはいよいよせまくなって、こちらのうちから向こうのうちへ
物干しのつなが下がって、きたならしいぼろであった。路地にはぶたが、たまり水にぴし....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
ません。お花を買って来て、よかったわ。あまり、このお部屋殺風景じゃございません?
物干しに、朝顔の鉢でも、お置きになったらどう? 私のような、麗人を迎えるのに、ふ....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
きたらずいぶんかわいがるでしょうね、そうしてお子さんもたくさんできるわ。そうして
物干し竿におしめがにぎやかに並びますわ。青島さんは花田さんといっしょに会をやって....
「少年の食物」より 著者:木村荘八
びに来て兄キと何かしているのを見ると、幾艘もペンキ塗の軍艦をこしらえて、私の家の
物干しへ矢張りペンキで「旭造船所」と書きました。私は此の読み方を兄キに聞きました....
「少年の日の悲哀」より 著者:小川未明
いました。もし夜中に外で、猫が猫とけんかでもしていますと、ばあさんは起きて出て、
物干しざおを持ってきて、猫がけんかをして鳴いているほうへゆきました。そして、自分....
「わが町」より 著者:織田作之助
ないのに置かれている人力車は、長屋人の佐渡島他吉の商売道具である。もちろんここは
物干し場にもなる。けれど、風が西向けば、もう干せない。日の丸湯の煙突は年中つまっ....