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「物影〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

物影の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
アッシャー家の崩壊」より 著者:佐々木直次郎
旅ゆく人々は 赤く輝く窓より見るなり、 調べみだれたる楽の音につれ 大いなる物影《ものかげ》の狂い動けるを。 また蒼白き扉くぐりて 魔の河の速き流れのごと....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
時其の家へ年頃五十位の背の低い婦人が来て草花を買い、帰りがけに密《そっ》と小僧を物影に呼び、誰にも知らさずに此の電報を打って呉れと頼み、後々までも無言で居る様に....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いるので、すぐそのあとをつけてゆくと、お朝と重吉とは蔵のまえで出逢った。 暗い物影にかくれて、おかんはそっと窺っていると、危うく消えかかる手燭を下に置いて、お....
路傍の草」より 著者:寺田寅彦
えば向日葵や松葉牡丹のまだ小さな時分、まいた当人でも見つけるのに骨の折れるような物影にかくれているのでさえ、いつのまにか抜かれているのに驚いた。これほど細かい仕....
或る女の手記」より 著者:豊島与志雄
くような様子もなく、御門のすぐ向うの石畳に、ぼんやり立っていた。私は喫驚したが、物影から覗かれるよりはまだよかった。所がその日学校の帰りにも、やはり同じ姿勢の彼....
青玉の十字架」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
りは、犯人をしっかりと握りながら、まだ手懸りを握っていないのだ。 目ざす二つの物影は、はるか向うの丘の地平線上に、黒い蝿のように歩いていた。明らかに彼等は何か....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
北特有の生世話だんまり、あのおどろおどろしい声や、蒼白い顔や、引き包まんばかりの物影などは、とうに昔の夢と化して、どこかへ飛び去ってしまうのだった。 ところが....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
うに見えたのであった。そういう不安の種はたくさんあったらしく、馬は路上のあらゆる物影におびえていた。 その間に、例の駅逓馬車は、お互に窺い知りがたい三人の相客....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
しこまりましてございます」 それだけでまたも無言となった。夏の陽射しが傾いて、物影が長く地にしいた。追分宿へはいった頃には、家々に燈火がともされていた。 両....
月世界競争探検」より 著者:押川春浪
蝋燭が今にも消えんばかりに点って、ほの白く四辺を照らしているその下に、何やら黒い物影が二つ横わっている。唸り声はその中の一つから起っているので、その黒い影は時々....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
のは、この木に名を残した不幸な人の運命に同情していたからでもあり、また、ふしぎな物影が見えたり、陰気な嘆き声がきこえたりするという話がこの木に伝わっているからで....
秋深き」より 著者:織田作之助
わかに夜の更けた感じだった。 駅をでると、いきなり暗闇につつまれた。 提灯が物影から飛び出して来た。温泉へ来たのかという意味のことを訊かれたので、そうだと答....
涸沢の岩小屋のある夜のこと」より 著者:大島亮吉
色の陰影は千人岩の頭のうえまでものびていた。そしてはるかの谷にはすでに陰暗な夜の物影がしずかにはいずっていた。自分たちはそのころ漸く岩小屋にかえりついたのだった....
黒い人と赤いそり」より 著者:小川未明
海の上は、あいかわらず、銀のように凍っていました。そして、見わたすかぎり、なんの物影も目に止まるものとてはありませんでした。 よく晴れた、寒い日のことで、太陽....
ねむい」より 著者:神西清
。街道には、荷馬車の列がつづき、背負い袋をしょった人たちがよたよた歩いて、何やら物影が行ったり来たりしている。両側には、冷たい、すごい霧をとおして、森が見える。....