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物思
「物思〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物思の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
わざとしわがれた声で、笑って見せた。が、次郎は依然として、顔を暗くしながら、何か
物思いにふけるように、目を伏せて歩いている。……
「大事《おおごと》にならなけれ....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
上
夜、盛遠《もりとお》が築土《ついじ》の外で、月魄《つきしろ》を眺めながら、落葉《おちば》を踏んで
物思いに耽っている。
その独白
「もう月の出だな。いつもは月が出る....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
かい? ほんとうなら嬉しいけれど、――」
お蓮は頬杖《ほおづえ》をついたまま、
物思わしそうな眼つきになった。
「だって金《きん》さんが生きているんなら、私に会....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
が、持ち主にあったと云うのです。」
田代君は椅子《いす》に腰を下すと、ほとんど
物思わしげなとも形容すべき、陰鬱な眼つきになりながら、私にも卓子《テーブル》の向....
「女」より 著者:芥川竜之介
薇の花も太陽も蜂の翅音《はおと》も忘れたように、たった一匹|兀々《こつこつ》と、
物思いに沈んでいるばかりであった。
何週間かは経過した。
その間に蜘蛛の嚢の....
「或る女」より 著者:有島武郎
る暖かみを与える笑《え》くぼを失おうとしてはいたが、その代わりにそこには悩ましく
物思わしい張りを加えていた。ただ葉子がどうしても弁護のできないのはますます目立っ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
て他の漁夫と同様に握り飯を食ってはいるが、いつのまにか人々の会話からは遠のいて、
物思わしげに黙りこくってしまう。そして果てしもなく回想の迷路をたどって歩く。 ....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
しき眼の中曇を帯びて、見るに俤晴やかならず、暗雲一帯|眉宇をかすめて、渠は何をか
物思える。 根上りに結いたる円髷の鬢頬に乱れて、下〆ばかり帯も〆めず、田舎の夏....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
謙三郎はただ一人清川の書斎に在り。当所もなく室の一方を見詰めたるまま、黙然として
物思えり。渠が書斎の椽前には、一個|数寄を尽したる鳥籠を懸けたる中に、一羽の純白....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
荘厳な衣服にあらためて、かれらを迎えた。 「これがわたしの作品だ。」と、彼は深い
物思いに耽りながら言った。 それを見守っていた批評家らの顔は深い悲痛な影に掩わ....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
うものを。……どうぞ、唯今お熱いお湯を。旦那様お寒くなりはしませんか。」 今は
物思いに沈んで、一秒の間に、婆が長物語りを三たび四たび、つむじ風のごとく疾く、颯....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
背のすらりとしたのが、片手に帯を挟んで、俯向いた、紅絹の切で目を軽く押えながら、
物思いをする風で、何か足許も覚束ないよう。 静かに歩を移して、もう少しで通へ出....
「初雪」より 著者:秋田滋
胸一ぱい吸い込むのだった。 そうして彼女はその思い出の糸を手繰りながら、じッと
物思いに耽るのだった――。 * * * ....
「寡婦」より 著者:秋田滋
の最後の人間であったその子の身に伝えられてでもいるようでした。その子はいつ見ても
物思いに耽っておりました。そして、館から森へ通じている広い楡の並木路を、たッたひ....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ろう、と眼光|炬のごとく、賭物の天丼を照らした意気の壮なるに似ず、いいかけて早や
物思う。 思う壺と、煙草盆のふちを、ぱちぱちと指で弾いて、敗軍一時に盛り返し、....