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物性
「物性〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
物性の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
の胎《はら》を出るとそのままなんの訓練も受けずに育ち上がったようなぶしつけな、動
物性の勝った、どんな事をして来たのか、どんな事をするのかわからないようなたかが事....
「失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
鬘萎み羽衣穢れ――とかいう、天人衰焉の様を唱うようになれり。かくなりては、一路植
物性の存在に退化するのみにして、治療の途はあれども、余には既に幹枝の必要なきこと....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
うに、灰をなすりつけている。レールに近く養蚕広告のペンキ塗の看板が、鉛のような鉱
物性の色をして、硬く平ったく烈しい日の光に向って立っていたが、汽車と擦れ違いさま....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
も甚円満に発達していると云うのだから大したものである。もっともこれは、あとで「動
物性も大分あります。」とか何か云われたので、結局帳消しになってしまったらしい。 ....
「風と光と二十の私と」より 著者:坂口安吾
だ、子供とはあべこべに、徹頭徹尾色っぽく、肉慾的だ。最も女であった。その淫奔な動
物性が、娘の野性と共通しているだけだった。娘は大柄であるのに、母親はひどく小柄で....
「まかないの棒」より 著者:黒島伝治
埃や、醤油粕の腐れなどを積上げた片隅でボンヤリ時間を過した。そのあたりからは、植
物性の物質が腐敗して発する吐き出したいような臭気が立ち上ってきた。最初、彼は、堪....
「無人島に生きる十六人」より 著者:須川邦彦
この小さなつる草の実、われわれが、草ブドウと名をつけた実は、島ワサビのほかに、植
物性食物のない十六人にとって、じつにたいせつな食糧となった。そこで、本部島にこの....
「新人へ」より 著者:坂口安吾
題でなくて、特に文学だけの問題のように考えられているところに、日本文学の思想の贋
物性、出来損いの専門性、一人ガテンの独尊、文学神聖主義があるのだろう。 罪の自....
「精神病覚え書」より 著者:坂口安吾
物的な当然さはないものである。精神病者が最も多く闘っているものは、むしろ自らの動
物性に対してであり、僕が小平を精神異状ではなく、むしろ平凡であり、単に犯罪者であ....
「落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
ものは算えきれない。キノコ、山の芋、ワラビ、ゼンマイ、木の実等々。しかし、彼は動
物性食物をより多く好む。蛇は特に好物の一つである。蝉、トンボ、ゲンゴロウ(水虫)....
「岡ふぐ談」より 著者:佐藤垢石
みえる。十数匹の蝗を竹串にさして、塩をなすり、焚火に培って食べたところ、長い間動
物性の蛋白質に飢えていた際であったから、素敵においしかった。 私は、昨年の三月....
「米」より 著者:犬田卯
。一人前の仕事が出来ない、それほど歯がゆいことはなかったのである。彼女は浩平の動
物性を憎悪した。「丁満なことは何一つ出来ねえくせ助親父。」 浩平にとっては、そ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
の上にごく成分に富んで居る麦焦粉を日に一度ずつどっさり喰って居ります。もっとも動
物性の食物はただバタばかりでありますが、蕎麦のできる時分にはその新芽を酸乳でまぶ....
「エタ源流考」より 著者:喜田貞吉
単に職業上の誤解から、その仲間にされたものとの事を疑わぬ。けだしもと青染には、動
物性の染料を交えておったと言われていたので、これはいずれ染織史研究家の教えを乞い....
「予謀殺人」より 著者:妹尾アキ夫
と笑って、 「それは本物とはちがいます。でも相当強いですよ。ご承知でしょうが、動
物性の香料はみな鋭くて長もちがします。エッセンスをテーブルスプーンに一杯ほど、聖....